01:パンがしょっぱくて、世界が泣いた。
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俺の名前は——ウル・ナキマクリン
通称「ナキマクリン」である。
異世界に転生した初日から、俺はこの名前で呼ばれるハメになった。
(てか誰が決めたんだこの名前。俺じゃないぞ。)
それはさておき。
転生して数分後、気がついたら俺はボロ布みたいな服を着て、地面に寝転がっていた。
あたりはよくある異世界テンプレ村。牛、モブおじさん、木、石、謎キラキラ。
そして、俺の胃袋は……完全に空っぽだった。
「うぅ……腹へった……転生って、もっとチートスキルとか配布されるんじゃないの……?」
立ち上がるのもやっとな状態で、フラフラと村をさまよい、俺はようやく小さなパン屋にたどり着いた。
「いらっしゃい……あれ? もしかして、あんた……旅人かい?」
出てきたのは、優しそうなおばあちゃん。
ああ、絶対この人、俺の人生に影響与える系のモブ(じゃない)やつだ。
「これ、売れ残っちまっててね。もう硬いし、耳しか残ってないけど……よかったら食べな」
おばあちゃんがそっと差し出してくれたのは、
——耳しか残ってない、硬っっっいパン。
でもさ……
異世界初日、誰にもチートもらえず、空腹でヨレヨレの俺にとって、
それは……人生で一番、あたたかいごちそうだったんだよ。
「……うぐっ……ぐすっ……あったかい……あったけぇ……!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!(号泣)」
パンの耳を抱きしめながら、俺は人目もはばからず泣いた。
すると。
「——英雄様だ!!!!!」
「ついに……伝説の“涙を流せる者”が現れたぞ!!!」
「うおおおおおおおおおおお!!!」
村が、ざわついた。
な、なんでっ!?
俺、今ただ泣いただけなのにっっっ!????
俺が号泣した3秒後——
村の中央広場が地響きを立てた。
「“涙”を確認ッ!!」
「感情スキャン、陽性ッッ!!」
「感動ポイント…計測不能……ッッッ!!!」
何だこの展開!?????
白いローブを着た集団が、どこからともなく駆け寄ってきた。
額に“泣”のマークをつけている。なんか宗教くさい。
「あなた様は……800年ぶりに現れた、“泣ける人”……」
「その涙は、**神涙**と呼ばれる……世界に奇跡をもたらす力です」
「いやいやいやいや、俺ただパンの耳に感動しただけなんだけど!?」
「泣きの神よ……!」
「パン屋のおばあちゃん! そのパン、今すぐ保管しろ!」
「涙が染み込んだ聖パン“涙塊”は、超希少品だ!!」
おい待て、おばあちゃん泣いてるし。
ていうか俺のパン、勝手に祀るな。
「泣きの勇者様、お願いです……!この“感情砂漠”を、あなたの涙で潤してください……!」
……そのとき、俺の目の前に現れたのは——
ひとりの、超美少女だった。
透き通るような銀髪。無表情。心拍ゼロみたいな目。
でもなぜか、俺の方をじっと見つめて、こう言った。
「はじめまして。わたし、“泣けない子”です。」
「あなたの涙を……ずっと待っていました。」
うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
ヒロイン、無事登場っっ!!心の中で叫ぶ俺
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