第3話「革命派の拠点にて①」
揺れる馬車の中、ルシェリアは窓の外に広がる闇をじっと見つめていた。王城の地下牢から連れ出されて以来、目まぐるしく状況が変わりすぎていて、現実感がない。
処刑されるはずだった自分が今こうして生きている。それだけは確かだった。
「……お前たちは、何者なの?」
長い沈黙を破り、ルシェリアは目の前に座る男たちを見据えた。
一人は黒髪に鋭い金の瞳を持つ男、レオン。無愛想で冷静な雰囲気をまとい、革命派の中心人物らしい。
もう一人は栗色の髪と人懐っこい笑みを浮かべるジーク。どこか軽やかな雰囲気だが、その目は油断なく鋭い。
「革命派の名を聞いたことがあるだろう?」
レオンが淡々と答える。
「ええ、もちろん。でもまさか……王城に潜り込めるほどの組織だとは思っていなかったわ」
「俺たちの力を甘く見ないことだな」
ルシェリアはふと、彼らがなぜ自分を救い出したのかを考える。
革命派が王族を憎んでいるのは知っている。それなのに、処刑寸前の王女を助け出す理由は——
「君には生きてもらわないと困るんだよ」
ジークが肩をすくめて笑った。
「どういう意味?」
「ルシェリア・アストリア——君は革命の象徴になるんだ」
その言葉に、ルシェリアは思わず息をのんだ。