あいつが革命軍のブレインよ
GWなかなか時間取れず間が開きました。申し訳ないです。
相手を説得するのは苦手だ。だが、ここで言葉を惜しむのはもっと避けないといけないことのように感じられた。
だがそれに対し、ガイアは顔をしかめる。
「言葉を尽くし、ねぇ……言葉で何が変えられるんですか? 甘っちょろいお嬢様らしいですね。あんた、未来で自分があう酷い仕打ちは知ってるんですか?」
厳しい言葉にルーナは思わず黙り込む。オネエに教わったから知ってはいる。だが、その詳細をミアとリズには教えていない。軽蔑されたくなかったからだ。すると、ガイアは鼻で笑った。
「知ってるんですね。そりゃ回避したいはずだ。生きているのさえ惨いような状態で首を斬られるんですもんね! 未来を変えるっていうのは簡単じゃないんですよっ」
二人がそれを聞いて息を飲むのがルーナには分かった。先程ガイアはルーナ達に協力する、と言った。だが根本的なところでまだ彼の信用は得られていないのだと痛感させられる。とはいえ。
〈子兎ちゃん、聞かなくていいわよ!〉
「……それが、それがどうしたのですか?」
ルーナが淡々と問い返すと初めてガイアは怯んだ。
今まではオネエの言葉から伺うしかできなかった暗澹とした未来。ただ、それが目の前の青年の存在で真実だと確定してしまった。だからこそ、ルーナは覚悟を決めた。
「人はいずれ死にます。ただ、それは貴方の手によるものじゃない。それは彼女達も同様です。貴方が足掻くなら、私達もできる方法で足掻くだけなのです」
〈……かっこよすぎないかしら、子兎ちゃん〉
「私はまだ殿下の婚約者です。使える権力は全て使います。それが私の力ですから」
そう言い切ったルーナにガイアは信じられないようなものを見る目を向ける。
「それに……未来にはいなかったのかしら? 言葉で世間を変えようとした人は」
ただの脳筋集団だけだったならアレクサンダーを倒せたはずはない。そしてアレクサンダー陣営にもまたブレインはいたはずなのだ。さもなくば内乱は長期間化しえないのだから。
〈……いるわよ。ブレイク・オーガスタ。あいつが革命軍のブレインよ〉
思わずルーナは息を飲む。だが一人だけオネエの言葉が聞こえていないガイアは首を傾げていた。
「言葉で? そんなもので変えられるのなら」
〈ブレイクはハト派、ガイアはタカ派だったからわざわざあっちからは申告してこないでしょうねぇ……参ったわ〉
共通の敵がある時なら問題なかったかもしれない。だが、今は違う。まだその敵自体が生まれる前の段階なのだ。となれば現状は主義主張が合わない犬猿の仲である。
と、考え込むルーナの前にミアが立つ。そしてガイアに向かって傲岸不遜ともとれる表情で笑いかけた。
「少なくとも私は誘拐されない限りは普通に言葉でまず変えようとするわよ。それでは不十分? あんたからすれば殺したいほどあれな相手なのかもしれないけどねっ」
そもそも、とミアが眉を顰める。
「前提を誤った、あれはミア・ベネットではない、って言ったわよね?さっきは意味がわからなかったけど今は分かるわ。未来で私に成りすましてあの邪魔王子の側室になる馬鹿女がいるってことでしょ? ってことは私もほぼ確実に始末されてるじゃない」
そう、先程からそれが気になっていたのだ。今までは自分が悲劇の一端だと思っていた。しかし、そうではなく、そもそも舞台にすら上がれずその役を乗っ取られていたというなら。
「当事者全員がこの先に起こりうることを把握していて警戒している。それでも未来を変えられないなら、あんた、ただの無能よ」
惜しくは無いとはいえ理不尽に奪われようとする自分の命を守るためなら鼠も全力で猫に立ち向かうのだ。




