第三話:ポルターガイスト
ここからは、人間世界での話が進行していきます。
話が進むにつれて第二話までと徐々にリンクしていきます。
「またポルターガイスト現象化よ!!今日で何回目だ!!」
「今日だけで6回目よ。」
「これがもう1週間も……」
「そろそろ有名な霊媒師の先生に見てもらったほうが良いんじゃないのかね。」
「島中あちこちで起こってるみたいだしな。」
「幽霊を見た。って人もいるらしいぜ。」
「特にあの東の古戦場にいっぱいいるらしいな。」
「あの古戦場は前からだろ。」
そんな会話が町中で繰り広げられていた。
(アメス島で今何が起こっているんだ? 預言者クラニアが残した古フィナール書の記述には今の時代より1000年後に大いなる災いが世界を覆うと書かれていたがこれはその予兆か? だとしたらこの先には何が待っているのだろうか。ここで考えていても仕方がない。家に帰るとしよう。)
俺の名はカイン・エリウス。アメス図書館館長ファリル・エリウスの息子だ。父の仕事場には昔から何度も足を運んでいる。そしてそこで見つけた古フィナール書。門外不出の禁断の書。世界の運命に関ることが書かれている。僅か数ページしかないその本がポルターガイスト現象の謎を解く鍵になっているのだろうと俺は思っている。それを確認するために町へ来たがあまり情報は得られなかった。得られた情報といえば古戦場や墓場付近でよく起こっているということぐらい。
町の中を家に向かって歩いていると後ろから声がした。女の声だ。この声は確か…………
「なにぼやっとしてんの?」
後ろを振り向くとそこには見覚えのある人がいた。
「あなたまさか私のこと忘れたんじゃないでしょうね? せっかく幼なじみの私が来てやったというのになに~~そのよくわからない反応。」
その女の人は一人で俺に向かって文句を言っていた。
「久し振り。元気だったかエリー。」
「久し振りねカイン。元気だったわよ。あなたはどう?」
「ぼちぼちだ……聞いているか? ポルターガイスト現象のこと。」
「聞いてるわ。あなたを手伝うために帰ってきたのよ。あなた昔からこういうことには首を突っ込んでるからね。」
エリー。エリー・ブラン。俺の幼なじみ。2年ほど前に大陸のほうに引っ越していったがそれまでは家が隣同士だったこともあり小さいころからよく遊んでいた。何も変わっていないといったら失礼だろうがやはり何も変わっていない。身長や見た目はともかく性格はまったくといって良いほど変わっていない。安心した。
エリーと話しながら俺の家に向かって歩いていた。
「ねえカイン。海によってかない?」
「行ってみるか。何かわかるかもしれないしな。」
林の中を抜け川に沿って二人で歩いていった。
目の前に青い海が広がっている。
エリーが砂浜に向かって走って行ったそのとき…
「人が倒れてる!!」