第一話:ルシファー決起
「よくも私を……許さぬ…許さぬぞ…自ら神と名乗る傲慢な貴様を我が裁いてやる。次こそお前を倒しこのルシファー様が新たなる神となろう。覚悟していろ……ヤハウェ。」
ここは天界からも生界からも遠く離れた世界。―死界…
ルシファーはかつて天界にて全天使の長をしていた。しかし、傲慢な神と知恵の実を食しエデンの園を追放された人間に失望し何体もの天使を引き連れ神ヤハウェに反逆した。
しかし神に敗れたルシファーは死界へと追放され堕ちた天使、堕天使へと成り果てたのであった。しかしルシファーの野望は収まるところを知らなかった。更なる力を得て必ず、神を殺すと誓うのであった。
そんなルシファーのところへある意味では女神が舞い降りた。
その者の名―リリス
リリスは自ら死界へと舞い降りた。アダムの子孫を根絶やしにするために。力を求めてルシファーの元を訪れたのであった。
「私なら地上へと向かう穴を開けることができる。うまくできれば天界へ行くことだってできるは。」
リリスはルシファーにそう伝えた。それを聞いたルシファーはしばらくの間考え込んだ。
「しかし―地上へ行くには煉獄を通らねばならない。煉獄には死と生の管理人、閻魔大王がいるのだぞ。奴に勝つすべなどない。なぜならば奴は不死身だからだ。」
リリスはすぐにそれに答えた。
「では、閻魔に気づかれぬようじわじわと煉獄に穴を開けていくのはどう?」
「だが…それには危険が伴う。誰がそれをするというのだ?」
「それは任せて。」
そういうとリリスは懐から小瓶を取り出し中の液体を地面へと振りまいた。
するとそこには一人の青年がいた。
「誰だこいつは?」
ルシファーはリリスと青年に問うた。
「私の名前はリリンです。」
青年は自ら名を名乗った。
「私がその役目を負います。ですから母上とルシファー様は準備を整えておいてください。」
青年はそう言うとどこかへ走り去ってしまった。
「お前の息子なのか?リリス。」
「ええ。私の息子よ。あの忌々しい男のね。」
「忌々しい男……アダムか。」
「そう。アダム。私を捨てエヴァの元へ行ったアダムのね。」
「なるほど…お前はアダムに復讐したいのか。だからアダムの子孫の人間を根絶やしにしようと………面白い!!私もつき合わせてもらうぞ。リリス!!」
「あなたはヤハウェに仕返しをしたいのでしょ?私もヤハウェを恨んでるわ。利害は一致…面白いことになりそうね。」
「ああ。面白いことになるだろう。」
そのころ煉獄の閻魔殿では……
「遂にルシファーの奴が動き出したか。ということはそろそろヤハウェ殿も動き出すというわけか……ガハハハハハッではオーディン殿にこの旨を伝えエインヘリャルの準備を整えてもらわねばな。トゥルダクよ、至急ヴァルハラへ行け!!」
「りょ~~かいしやしたでやんす。いってくるでやんす~~~」