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119-7

「こんな機械人形など、しょせんはおもちゃじゃぞ。旧人類は大陸を一撃で灰にし、あげく毒素で大地を数百年汚染する兵器も生み出しておったのじゃからな」

「そ、そこまでする必要があるんですか!?」

「あるのじゃ。平和のためにな」


 スセリが矛盾したことを言う。

 平和のために、どうして生物を住めなくするほどの威力を持った兵器が必要なんだ。


「それぞれの国が世界を破滅させる兵器を持ってけん制し合う。それで平和は成り立っておったのじゃ」

「紙一重の平和だな」

「花畑で歌うのが平和ではない。剣の切っ先を向けあって身じろぎできない状態こそ平和と呼ぶのじゃよ」


 スセリがまたひねくれた持論を言ったのだった。

 ……あながち、ひねくれているとも言えないかもしれない。


 道を進んでいくと、何度か同じ機械人形に出くわした。

 そのたび俺たちはこそこそと隠れながら通り過ぎていったのだった。

 先人たちもきっと命がけの冒険をしていけにえを連れていったに違いない。



 秋の世界の終わりとなる門へとたどり着いた。

 門を隔てた向こうの世界は、まっしろな雪景色。

 雪がちらちらと降っている。


「最後の季節ですわね」

「この先に、四季の園の終わりがあるんですね」


 いけにえの旅路が終わろうとしている。

 果たして俺たちはラニスを、そして村を救うことができるのだろうか。

 ここまで来たのに、俺は未だ具体的な案を出せずにいた。


「さ、さむいですね……」


 ラニスが両腕を抱いて震える。

 彼女は薄着だからかなり寒そうだ。


「これであったかくなるはずだ」


 俺は魔法を唱え、発熱する光球を頭上に生じさせた。

 光球は熱を放って周囲を温めてくれた。

 前にスセリに教えてもらったのが役に立った。


「アッシュさん、なんでもできるんですね」

「なんでもは言いすぎだな」

「と、とっても……」


 ラニスが目をそらしながら頬を染めて言う。


「とっても、ステキです」

「でしょう!?」

「ひゃあっ!?」


 プリシラとマリアが前のめりに迫ってきてラニスを驚かせた。


 とにかく、寒さの問題は解決した。

 雪が積もっていて道が見えづらく、迷子にならないよう慎重に歩く。

 光を発してるから魔物や機械人形にも見つかりやすいから注意しないと。


 新雪に足跡を残しながら道を進む。

 地面は一面まっしろで、木々も雪が積もって白くなっている。


「よい目印があって助かるのじゃ」


 最初は道に迷うかと思ったが、すでにその心配はなくなっていた。

 俺たちの行く先に大きな灰色の神殿があったからだ。

 あそこが旅の終点。

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