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118-6

「人間のいけにえなんて時代錯誤もはなはだしいですわ!」


 マリアがそううかつなことを口にしてしまう。

 老人たちがむっと顔をしかめる。


「冒険者がた。あなたがたには恩があるが、これは村のしきたり。口出しは無用」

「ですけど……」

「村には村のやりかたがあるのです」


 俺たちはあくまで機械人形の討伐のためにやってきたのだ。

 村のやりかたに口をはさむ筋合いはない。

 もっとも、俺もマリアに同感なのだが。


「村長。いけにえを捧げるとなると『四季の園』に足を踏み入れねばなりません」


 老人の一人が言う。


「そうか……。だとするといけにえの『守り人』も必要か」


 老人たちが長老と話し合う。

 聞き耳を立てていたが、どうやら守り人というのはいけにえを護衛する者らしい。

 四季の園という場所には魔物がいるため、手練れの護衛が必要なのだ。


「アッシュさん。今一度、遺跡に戻って機械人形を退治してもらえませんかな」

「……わかりました」


 ていよく俺たちは追い出されてしまった。



 遺跡に戻ると、四角い機械人形は最後に見た場所から少しも動いていなかった。

 やはり至近距離に人間がいないと起動しないらしい。

 とはいえ、自爆する代物を放置しておくわけにもいかない。


 俺はプリシラとマリアとスセリに作戦を提案する。


「そ、そんな危険な方法しかありませんの?」

「だが、一番確実じゃな。なにより楽じゃ」

「わたしがおとりになりますっ」


 作戦を開始した。


 機械人形の探知範囲の外で俺たちは待ち構える。

 プリシラが一人、機械人形に接近する。

 ある程度近づいたところで機械人形が再び起動した。


「動きました!」


 ここまでは作戦どおりだ。


 プリシラが走ってこちらに戻ってくる。

 それを追いかける機械人形。これも作戦どおり。

 プリシラが俺たちのところに戻ったのと同時に、俺はスセリと魔力を合わせて半球状の障壁で周囲を囲った。


 機械人形が俺たちめがけて光線を発射するも障壁で防がれる。

 胴体の側面から出現した刃もはじき返す。

 あらゆる攻撃が障壁に通じないと理解したらしい機械人形は、車輪を胴体にしまい込んでその場に座る。自爆する気だ。


「耳をふさげ!」


 次の瞬間、機械人形が自爆した。

 すべてをなぎ払う高熱の爆風。

 爆風には鋭利な金属片が無数に紛れ込んでいて周囲にあるものを無差別に切り裂いた。


 爆風が収まる。

 自爆した機械人形はもはや跡形もなく吹き飛んでいて、地面がえぐれていた。

 周囲の古代の建築物は、爆風と飛散した金属片によりズタズタに切り裂かれてた。


 すさまじい破壊力と殺傷力。

 障壁がなければ俺たちは今頃無残な姿になっていただろう。

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