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117-6

 小規模な古代遺跡で今、俺とプリシラとマリア、スセリの四人は機械人形と戦っている。

 その機械人形は真四角の胴体にレンズと呼ばれる目がついていて、クモのような節足を動かして機敏に移動する。そして胴体の側面に据えられた銃から弾丸が雨のように乱射してくる。

 哨戒と侵入者の排除を目的に作られたと一目でわかる、なんとも味気ないほど単純な構造だ。


「障壁よ」


 スセリが魔法の障壁を展開して弾丸を防御する。

 バババババ……、とあられが屋根を打つような音がけたたましく鳴る。

 知能は低いのか、無効化されているにもかかわらず機械人形は銃の乱射をやめなかった。


「あっ、弾切れみたいですよ」


 銃弾の雨が止む。

 カラカラカラ……、とむなしい音が銃から聞こえてくる。

 機械人形は銃を胴体にしまうと、代わりに二本の腕を出してきた。


 二本の腕から赤い魔法の刃が出てくる。

 機械人形は節足を動かして急接近してきた。

 赤い刃で障壁を狂ったように乱打する。


「ちょっと、スセリさま! 障壁にキズができているのではありませんこと!?」


 マリアがあわててスセリの肩をゆする。


「そのようじゃの」


 スセリは平然としていた。

 危機が迫っているというのに、スープの塩加減に文句を言われた程度の態度だ。


「あわわわ……」


 対魔法障壁用の武装らしい。弾丸を受けても無傷だった障壁に切り刻まれたキズができていく。

 このままでは障壁を突破される。


「攻撃に転じよう」

「うむ。アッシュ。『せーの』の合図でいくのじゃ」

「わかった」


 俺は魔書『オーレオール』からありったけの魔力を引き出す。

 引き出した魔力を一か所に集中させる。

 手の中で膨大な魔力は圧縮されて、青い光となって可視化される。


「せーの!」


 スセリが障壁を消し去る。

 プリシラとマリアが耳をふさいで目をつむる。


「雷よ!」


 間髪いれず、俺は魔力を解き放った。

 刹那、空間を引き裂くような雷鳴。そして閃光。

 幾重にも折れ曲がりながら突き進むいかずちが機械人形を貫いた。


 いかずちは一瞬で機械人形の胴体を貫いた。

 電気によって内部の機械を破壊された機械人形は隙間という隙間から黒い煙を上げて、細い節足をぐしゃりと折り曲げて胴体を地面に落とした。


 ぼふんっ。

 真四角の胴体の上部の装甲が吹っ飛んだ。

 勇猛果敢に攻撃を繰り出していた機械人形は今、微動だにしない。


「完全にショートしておるの」


 中身が丸見えになった胴体の中身はバチバチと火花が散っていた。

 焦げ臭い。

 機械人形の討伐を確認すると、俺たちは肩の力を抜いてほっと息をついた。

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