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116-6

「この旅は終わるが、俺たちの仲は終わらないだろ。『シア荘』に遊びにくればいいし、俺たちだってキィの家に遊びにいきたい。プリシラやマリアだって同じ思いだ。スセリはちょっとわからないけどな」

「……アッシュ・ランフォード」


 キィが困った表情をする。

 だから俺は笑ってみせた。

 彼女もそれにつられて薄く笑った。


「俺たちは仲間だ」

「仲間、か……」


 その言葉をかみしめるようにつぶやく。


「ありがとう」


 そのときだった――突如、部屋全体ががくんっと縦に揺れたのは。

 同時にすさまじい爆発音が外からした。


「な、なんだ今のは!?」

「くっ」


 キィがすぐさま壁にかけてあった剣を手に取る。

 なにがあったのか尋ねに行こうと部屋を出ようとしたとき、部屋の扉が開いてプリシラとマリアとスセリが駆け込んできた。


「あれを見てくださいっ」


 廊下に出て窓から外を見る。

 キィの部屋の窓からは視覚になって見えなかったが、廊下の窓からははっきりと爆発音の正体が映っていた。

 巨大な化け物が町中に出現していたのだ。



 城下町。

 町のど真ん中に怪物は立っていた。

 どの建物よりも背が高く、四角い建物が並ぶ町並みで頭が飛び出てやたら目立っている。


 その姿は竜に酷似している。

 二本足で立っていて、背中には竜の翼はついていない。

 知性のなさそうな獣の目で周囲の兵士を見下ろしている。


「どこから現れたんだ……」

「目撃情報によると、突然空から出現したとのことです」


 兵士が俺たちに教えてくれた。

 誰かが召喚したのだ。

 誰が、なんの目的で。


 怪物が顔を上げてきょろきょろと周囲をうかがう。

 そして標的を見つけたかのようにある一点を見つめだした。

 王城だ。


 怪物が口を開く。

 口の中から光がこぼれ出てくる。

 その光が限界まで強まると、極太の光線が発射された。


 極太の光線は王城に直撃――からわずかに逸れ、尖塔を一つ吹き飛ばした。

 あんなのが直撃した城は吹き飛ぶぞ。


「この魔物を撃破せよー!」


 兵士長らしき人が仲間に合図する。

 兵士たちが怪物に群がって足を槍でつつく。弓で射る。

 しかし、怪物はびくともしない。


 ここは俺が魔書『オーレオール』の力を借りた魔法で倒すしかない。

 ありったけの魔力を使えばこの巨大な怪物だろうと倒せるはず。

 魔法を唱えようとしたが、それは飛んできた氷の槍にじゃまされた。


 氷の槍が手元をかすめめ、石畳の床にぶつかって砕け散る。

 攻撃を受けた。

 どこから。


「アッシュ! 右じゃ!」


 右を振り向くと、そこには二度も戦った暗殺者の小さいほうがいた。

 ちびの暗殺者が接近戦を仕掛けてくる。

 振りかざした氷の刃を攻撃してきて、俺はそれを剣で防御した。

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