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11-7

「ウルカロス、やっちゃえ!」

「かしこまりました」


 主、セヴリーヌの命令に従って、巨大なゴーレム、ウルカロスが動き出す。

 振りかざした巨腕を暗殺者めがけて打ち下ろす。

 素早い身のこなしで回避する暗殺者たち。


「はっはっはー! 逃げまどえーっ」


 赤い単眼から光線が発射される。

 これもなんとかよけた暗殺者たちであったが、ローブの端を焦がす者がいた。

 大立ち回りを繰り広げるウルカロス。

 攻撃はすべてよけられているが、三人の暗殺者たちの体力を確実に消耗させている。


「このセヴリーヌさまにかなうと思ってるのかーっ。はっはっはーっ」


 セヴリーヌはウルカロスの頭の上に乗って高笑いしていた。

 そのとき、暗殺者の一人が短弓を手にし、背中の矢筒から矢を手にしてつがえた。

 狙いは――高笑いして無防備なセヴリーヌ!


「風よ!」


 俺が魔法を唱える。

 俺のかざした手から空気を圧縮した弾が放たれ、矢を構える暗殺者を吹き飛ばした。


「セヴリーヌ、油断するな!」

「だ、だから誰なんだよお前ーっ!」

「てやーっ!」


 プリシラが加勢に現れて、最大まで伸ばした多段ロッドで暗殺者を叩く。

 腕を打たれて短刀を落とす暗殺者。

 俺とプリシラの二人が現れて不利になったと判断したらしい。三人の暗殺者は煙袋を放って周囲に煙幕を発生させ、俺たちの視界を奪った。

 煙幕がはれると、暗殺者たちはすでに逃げ去っていた。


「アッシュさん!」


 隠れていたディアが俺たちのところへ駆け寄ってくる。

 セヴリーヌがウルカロスの頭から飛び降りる。


「いったいなんなんだよお前らー」


 不審な者を見る目つきをしている。

 思いっきり警戒されている。


「わたくしはガルディア家の娘、クローディアと申します」

「ガ、ガルディア家!? お前、クロノスの家族か!」

「クロノスはわたくしの弟です」

「クロノスに頼まれてアタシを狙いにきたのか!」

「いえ、今回の襲撃とわたくしは無関係です」

「ホントかー? ホントにホントかー?」


 クロノスのことを知っているような口ぶりだ。

 セヴリーヌはガルディア家とかかわりがあるのだろうか。


「俺の名前はアッシュ。ランフォード家の息子だ」

「ランフォード家……。うーん、どっかで聞いたような……」

「わたしはメイドのプリシラです」

「ランフォード家……ランフォード家……」


 記憶に引っかかるものがあるのだろう。セヴリーヌはアゴに手を触れながらずっとそう呟いている。


「セヴリーヌさま。この方たちは抹殺対象スセリの仲間でございます」

「へっ? ス、スセリ……!?」


 ウルカロスに言われてはっと顔を上げる。

 そして思い出したのだろう。ランフォード家はスセリが興した家だと。


「そうか! お前、スセリの一族か!」


 きょろきょろ辺りを見回すセヴリーヌ。


「スセリはどこだっ」


 俺は魔書『オーレオール』を彼女の前に出す。


「今は魂だけになって、この魔書に宿っている」

「……ああ、そっか。アイツ、ヨボヨボになって死んじゃったんだったな。ざまーみろだ。はっはっはーっ」

「なにが『ざまーみろ』じゃ」


 身体をそらせて高笑いするセヴリーヌの前にスセリが実体化して現れた。

 ようやく魔力が回復したのか。

 ぎょっと目をむくセヴリーヌ。

 ずずずと後ずさる。


「で、出たなスセリ!」

「久しいの、セヴリーヌ」

「ウルカロス。こいつらまとめてぶっ飛ばしてやれ! まっさつたいしょーだ」


 そうウルカロスに命じる。

 だがウルカロスは首を横に振る。


「セヴリーヌさま。この方たちはセヴリーヌさまを襲った暗殺者を追い払ってくれました。ゆえに、敵対するのは間違っているかと」


 頭に血が上った主を、彼は理性的にさとした。


「ぐぬ……」


 こぶしを震わせ、上目づかいでスセリをにらみつけるセヴリーヌ。

 対してスセリは呆れた表情をしている。


「セヴリーヌ。おぬしがどうしてガルディア家の暗殺者に狙われているか聞かせてもらおうかの。奴らはセオソフィーがどうたら言っておったが」

「セオソフィー!?」


 ディアが驚く。


「知っているのか、ディア」

「え、ええ……」

「質問するのはアタシが先だっ」


 セヴリーヌはびしっとスセリを指さす。


「今更なんの用でアタシの前に現れた!」

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