表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

773/842

111-1

 幾度も剣を打ち合う。

 拮抗した戦いが延々と思えるほど続く。

 俺もサルヴァークも次第に疲労していく。


 ときおり不意打ち気味に魔法を放つが、それも互いに防御する。

 魔法と剣を織り交ぜた攻防が繰り返される。


「てこずっておるのじゃの」

「安心してくれ。俺は必ず勝つ」


 スセリが手下を相手してくれているおかげでサルヴァークとの戦いに集中できる。

 だが、そんなときだった――汗で手が滑り、剣が手からすっぽ抜けたのは。

 その瞬間を見逃さず、サルヴァークが一気に間合いを詰めてくる。


 迫りくる死。

 背中に寒気が走る。

 サルヴァークの剣が俺の心臓を貫こうとする。


 だが、それはかなわなかった。


「ぐわっ」


 突然、上空から小さな袋が落ちてきてサルヴァークの頭に当たり、袋の中身の粉が降りかかった。

 粉まみれになったサルヴァークが苦しげに目を覆ってもだえ苦しみだした。

 上空を見ると、サルヴァークの前にニーナがいた。


「アタシ特性のコショウ爆弾だよっ」


 俺は金属召喚で剣を呼び出す。

 そして立ち上がったばかりのサルヴァークに突進し、密着すると同時に心臓に刃を突き刺した。


 浄化の魔法を唱える。

 光が手から剣に伝わり、サルヴァークの内側へと入っていき、浄化していく。

 邪悪な存在だったサルヴァークが足元から光の粒子になっていき、やがて全身が粒子となって大気に散って消滅した。


 サルヴァークが消滅すると同時に、あれだけ大勢いた手下のヘビ人間たちも煙となって消え失せた。

 どうやらサルヴァークが魔法で生み出した手下だったらしい。


「アッシュさまーっ」


 たっぷりと助走をつけてプリシラが胸に飛び込んでくる。

 主人に甘える子犬みたいだ。


「悪者をやっつけたんですね、アッシュさま」

「プリシラもよくがんばったな」

「てへへ。頭をなでなでしていただけるとうれしいです」


 俺は望みどおり彼女の頭をなでてあげた。

 プリシラは気持ちよさそうに目を細めていた。

 ニーナが俺の顔の位置まで下りてくる。


「アタシ大活躍だったでしょ」

「あんなものを持ってたんだな」

「獣や魔物を追い払うために妖精たちはみんな持ってるんだよ。トウガラシの粉末も混じってるから効果は抜群だよ」


 そんなものを振りかけられたなんて、サルヴァークはさぞ目が痛かっただろう。


「これで大樹を汚染する邪悪な魔力を断ちましたわね」

「さっそく帰ろう!」


 異世界から脱出した俺たちは妖精の里に戻り、大妖精に報告した。

 そして大樹のもとへ行き、幹に手を当てて魔力を確かめた。

 まだ幹に邪悪な魔力は残っているが、根から吸っている魔力に邪悪な力は感じない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ