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108-6

「わ、私、天に召されるときが来たのでしょうか!?」


 慌てたようすのアステリア王女。

 まだ心の準備ができたいなかったらしい。


「天国に行けるのでしょうか!? 地獄じゃありませんよね!?」

「日頃の行い次第じゃろ」


 禁忌とされている『ウルテラの迷宮』にこっそり忍び込んだあげく、王女という身分でありながら命を落としてしまったのだから、かなりきわどいところだ。


「うわーん! どうしましょう! 私、夕食のつまみぐいや勉強中の居眠りとかしっちゃってるんですー!」

「なら地獄じゃな」


 容赦のないスセリであった。

 あわあわと慌てだすプリシラ。


「い、今から神さまにお祈りしましょうか!?」

「さすがに手遅れではありませんこと?」

「神さまー! 天国に連れていってくださーい!」


 そう泣き叫びながらアステリア王女は天へと昇り、やがて消えてしまった。

 空に昇っていったのだから、おそらく天国へ行けるだろう。

 俺は楽観視していた。



 無事に地上に帰ってこれた俺たちは今、王城の玉座の間にいる。

 玉座には国王陛下が、そのとなりにはラピス王女が座っている。


「アッシュ・ランフォードとその仲間たちよ。王都の問題解決と、アステリア王女の迷える魂の解放、見事であった。王国を代表して礼を言おう」

「おつかれさまでした、アッシュさんにマリアさん。それにプリシラ」


 あれから魔力を測ったところ、希薄になりかけていた魔力は元どおりになっていた。

 地下にある『ウルテラの迷宮』の魔力の吸収は完全に止まったのだった。


「お前たちはこれまで幾度も難題を解決してきたが、今回ほどの活躍は初めてだろう。それに見合う見返りをくれてやらねばな」


 国王陛下は再度、俺たちに王城勤めをしないかと持ちかけてきた。

 他人からすればもったいないのだろうが、俺たちはそれを丁重に断った。

 俺たちはあくまで冒険者。帰る場所は『シア荘』なのだ。


「ならば、アッシュ・ランフォードよ。我が娘ラピスとの結婚はどうだ」

「えっ!?」


 俺とプリシラとマリアは一斉に声を上げる。


「名案ですね、お父さま」


 ラピス王女はよろこんでいた。


「アッシュさんとの結婚ならわたくし、大賛成です」

「ランフォード家としても王族と血縁になるのなら歓迎であろう」

「あわわわわ……」

「むむむむむ……」


 動揺しているプリシラとマリア。

 相手は王族。さすがにいつものように「横取りするな」とは言い出せないらしい。


「残念じゃが、アッシュはワシのものじゃ」


 そんな二人を尻目に、スセリが平然とそう言った。


「違いますっ」

「違いますわっ」


 すかさず二人が反論したのだった。


「やれやれ。お前は本当に仲間たちから好かれているのだな」


 結局、ラピス王女との縁談はうやむやになったのだった。

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