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108-3

 ここはまさしく、王都の守護の中枢。

 秘匿されるに値する存在。

 この存在が外部に知られれば、無用な争いを生むだろう。


 ……そのとき、物陰からなにかが出てきたのに気付いた。

 人間!

 違った。人間の姿をした機械人形だった。


 物音がして振り返ると、はさみうちにするかたちで同じ姿の機械人形が現れていた。

 機械人形はいずれも手に刃を装着していた。

 俺は剣を金属召喚して構える。


「みんな、敵だ!」


 水晶に見とれていた三人がはっとなって俺のもとに駆け寄ってくる。

 プリシラはロッドを、マリアは魔法で呼び出した光の剣を構える。


「おそらくこの装置の守護者だ」

「倒してかまいませんの?」

「倒さなければ俺たちがやられてしまう」


 理由はどうあれ、俺たちは外部からの侵入者。

 排除されるべき存在だ。

 アステリア王女が機械人形の前に出る。


「わ、私は王女です! 攻撃しな……ひええっ!」


 王家の人間であろうと容赦なく機械人形は刃を振る。

 アステリア王女は幽霊だったので、刃は身体を透けて空振りしたが、生身の人間だったらまっぷたつだったろう。


「肝心なときに役立たずじゃのう」

「す、すみませーん!」


 やむを得ない。破壊するしかない。


「プリシラ、マリア。装置を傷つけないよう、じゅうぶん気をつけてくれ」

「わかりましたわ」

「承知しましたっ」


 俺は前方の機械人形を、マリアとプリシラは後方の機械人形を相手にした。

 機械人形が腕に装着した刃で攻撃してくる。

 俺をそれを飛びのいて回避し、あるいは剣で受け止める。


 剣で攻撃を受け止めるたびに火花が散り、衝撃が腕を軋ませる。

 すさまじい威力だ。

 うっかりかすりでもしたら重傷は免れない。


 さいわいだったのが、それ以外の武装はなさそうなところ。

 施設の破壊を防ぐためなのか、この機械人形は刃しか武器を持っていなかった。

 銃を持っていたら、今頃一網打尽にされていた。


 機械人形が刃を大きく振りかぶる。

 その一瞬の隙をついて俺は魔書『オーレオール』からありったけの魔力を借り、身体能力強化の魔法を自身にかけた。


 刃が振り下ろされる。

 その動きがとても遅く見え、俺は軽々と横に回避して、そのまま背後に回る。

 そして機械人形の背中に手を当て、電撃魔法を放った。


 機械人形の内部にある精密な部品を内部から破壊する。

 バンッ! と爆発する音がし、機械人形の関節から煙が吹きあがった。


 自立機能を喪失して倒れる。

 完全に破壊した。


「遅かったですわね」


 振り返ると、プリシラとマリアのほうも機械人形を撃破していた。


「さすがアッシュさま! おひとりでやっつけちゃうなんて!」

「わたくしたち、アッシュに手を貸してさしあげようと、がんばって瞬殺しましたのよ」

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