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108-2

 それからも俺たちは『ウルテラの迷宮』最深部を目指して探索を続けた。

 入り組んだ迷路を進み、魔物や機械人形を倒して。

 落とし穴以降、罠にもかからず順調に先へと進めた。


 そして今、いかにも意味深な長い階段を下りている。

 深淵へと続くかのような、延々と続く階段。


「アッシュ。感じますわよね?」

「ああ」


 とてつもない魔力を感じる。

 この先から。

 いよいよ最深部に近づいているのがわかった。


「スセリ。異様な魔力を感じる。この先に魔力吸収の原因がありそうだ」

「うむ。じゅうぶんに注意するのじゃぞ」


 階段を下りきると、目の前には昇降機があった。

 ふつう、遺跡の昇降機には操作ボタンがあるはずなのだが、これには見当たらない。

 代わりに扉のそばに意味深な紋章が描かれていた。


「王家の紋章です」


 アステリア王女が言った。

 俺の知っている王家の紋章とは違うが、長い歴史の中で紋章が変わったのだろうか。

 端末をかざして国王陛下に紋章を見せる。


「王家の歴史を学んだ際に見た紋章だ。昔の王家はこの紋章を使っていた」

「アステリア王女よ。扉を開けたときのようにするのじゃ」


 アステリア王女は紋章に手のひらを重ねる。

 すると紋章が発光し、昇降機の扉が開いた。


 俺たちを乗せた昇降機は下へ下へと下りていく。

 魔力がどんどん強くなっていく。


 おそろしいほどの魔力だ。

 間違いなくここに王都から集めた魔力が蓄積されている。

 誰が、なんのために……。


 昇降機が停止する。

 扉が開く。

 その先には広い空間があった。


 広い空間の中心には、いつか遺跡で見たことのある、巨大な六角形の水晶が浮遊していた。

 周囲には古代文明の機械装置。

 複雑すぎてなにに使うものなのか見当もつかない。


 確実にわかるのは、この静かにたたずむ水晶が王都全体の魔力を吸収していること。


「すごい魔力ですわね……」

「アッシュよ。この水晶が王都の魔力を吸収しておるとみて間違いないのじゃな」

「ああ」

「よし、それではそこらへんの機械に差込口がないか探して、見つけたら端末とケーブルで接続するのじゃ」


 周囲の機械を調べ、それらしき穴を見つける。

 事前にスセリからもらったケーブルを端末に挿し、反対側を機械に挿した。


「よし、これで機械を調べられるのじゃ。まあ、この水晶が魔力を吸収しておる理由はなんとなくわかっておるがの」

「わかってるのか?」

「確信が持てたら話すのじゃ」


 もったいぶっているな。

 プリシラとマリアとアステリア王女は、魅入られたかのように水晶に釘付けだった。


「美しい水晶ですわね」

「この水晶の力が王都を守護していたんですね」

「入っちゃいけないって理由、やっとわかりましたっ」

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