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107-6

「それにしてもおぬしらも間抜けじゃの。落とし穴に引っかかるとは」

「落とし穴には引っかかっていませんわ」


 落とし穴には引っかかっていないのだが、結局のところ別の罠に引っかかったので同じようなものかもしれない。


「どうじゃ、帰り道は見つかりそうか?」

「いえ、まったく……」

「まあ、いざとなれば転移魔法を使えばよかろう」


 それは本当にどうしようもなくなったときの手段として取っておこう。

 今は戻り道を、あるいは最深部への道をひたすら探すしかない。


「応援していますよ、アッシュさん」


 ラピス王女が画面に現れて俺に笑顔をくれた。


「アッシュさん。ご先祖さまともお話させてくれませんか?」


 そう言われたのでアステリア王女に端末を貸してラピス王女と通話させた。


「ごきげんよう。『ひい』がいくつつくかわからない、わたくしのおばあさま」

「お、おばあさま……?」


 きょとんとするアステリア王女。

 彼女はおそらく落とし穴の罠にかかって転落死した時点で時間が停まっているのだ。

 自分が『おばあさま』である自覚はまるでないらしい。


「あなたの孫ではないので、正確にはおばあさまではありませんけれど」

「ふしぎなものですねー。自分の遠い子孫を目のあたりにするなんて……」


 アステリア王女はしげしげと画面を眺めていた。


「アステリアさま。無事に地上に戻られたら、いっしょにお茶をしましょうね」

「あはは……。外に出たらすぐに天に召されるかもしれませんが……」


 そこに国王陛下が割り込んでくる。


「私もあなたに聞きたいな。当時の王国がどうだったのかを。とても興味深い」

「アステリア王女、大人気ですねっ」

「あはは……」


 通路を進んでいくと、少し広い通路に合流した。

 壁には照明がついている。


 どうやら正規の道に戻れたらしい。

 とりあえず一安心といったところか。

 プリシラやマリアもほっとしたようすだった。


 ところが、安心したのもつかの間、先へ進むとすぐに行き止まりにつきあたった

 一本道の通路は扉によって閉ざされていたのだ。

 しかも、普通に開けるような扉ではなく、魔法、あるいは機械的に封じられた扉らしい。押しても引いてもびくともしなかった。


「少々乱暴ですけれど、力ずくで破壊するしかありませんわね」

「ですがマリアさま。扉は閉じたり開けたりするものです。閉じてあるのなら開ける方法もあるのではないですか?」

「あ、その扉ですが」


 アステリア王女が前に出てくる。

 扉の前に立つ。


 彼女が扉に手を触れると、扉は上にせりあがって通れるようになった。

 なるほど。王族の認証が必要だったわけだ。

 アステリア王女と出会わなければ、いずれここで立ち往生したのだな。

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