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106-5

 精神を研ぎ澄まし、魔力を手に集中させる。

 攻撃魔法の準備が整うと、俺とマリアは物陰から飛び出した。


「光の矢よ!」


 同時に魔法を放つ。

 二人の手から放たれた魔法の矢は、三匹いるうちの二匹の魔物に直撃して爆発した。

 上半身が吹き飛ばされるオオカミ型の魔物。


「残り一匹はわたしが!」

「……待て、プリシラ!」


 残った一匹をプリシラに仕留めてもらおうと思ったが、異変が起きた。

 上半身を吹き飛ばされて下半身だけになったはずの二匹が、急速に再生をはじめたのだ。

 上半身が一瞬にして元通りになる。


 ゆっくりと起き上ると、俺たちに向かってうなりだした。


「逃げるぞ!」


 俺たちは退散した。


「倒したと思ったらあっという間に復活しましたわ……」

「すごい再生力だ……」


 上半身を丸ごと消し飛ばしたのだ。

 再生能力を持っていたとしても間違いなく即死させたはず。

 生きているとは思えないのに、あの魔物はすぐさま再生をはじめた。


「困りましたね。あれでは先に進めません」

「恐るべき再生能力を持った魔物とはの……」


 画面に映るスセリが考え込むしぐさをする。


「あれは人工的に命を与えられたゴーレムの一種じゃな」

「生物ではないから、下半身だけになっても再生できたと?」

「さよう」

「弱点はありませんの? スセリさま」

「あやつの姿をカメラに写すのじゃ」


 物陰から端末をそっと出し、オオカミ型の魔物をカメラに捉える。

 これでスセリの端末の画面にも映るだろう。

 スセリはこう答えた。


「あやつら、一つの命を三匹で共有しているのじゃろう」


 三匹で一つの魂。

 だから二匹を倒しても、残り一匹が健在だったために再生できた。

 となると、あの魔物を倒すには、三匹同時に倒す必要がある。


「今度は三人で同時に攻撃しよう」

「プリシラ、頼みましたわよ」

「ぜ、全力を尽くしますっ」


 せーので俺たちは飛び出した。

 俺たちの姿を発見したオオカミ型の魔物三匹がこちらに襲いかかってくる。


「光の矢よ!」


 ギリギリまで引きつけたところで俺とマリアが魔法を放つ。

 二匹の魔物が光の矢に射られて爆発する。


「メイドの一撃ですーっ!」


 それとほぼ同時にプリシラがロッドで最後の一匹の頭部を殴打した。

 三匹同時に撃破すると、俺たちはすぐさまその場を離れて物陰に隠れた。


 物陰から顔を出してようすをうかがう。

 倒された三匹の魔物は再生するようすはない。

 待ち続けていると、三匹の魔物は光の粒子に分解されて大気に散った。


「今度こそ倒しましたわね」


 俺たちはほっと胸をなでおろした。


「ちょうどいいから、ここで休憩しないか?」

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