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105-6

「偶然ではない……?」

「異変が起きているのはお前たちだけではない。この王都全体で魔力が不足しているのだ」


 冒険者ギルドの調査によると、ここ数日、魔力が不足しているせいで魔法道具が動かなかったり、日常生活や戦闘において通常より魔法の威力が弱まったりする現象が起きているという。

 そして、これは秘匿された情報なのだが、この王都全域の魔力がなんらかのものによって、緩やかに吸収されているのが判明していた。


「王都全域の魔力が吸い取られているのですか!?」

「今はまだ日常生活に些細な支障をきたしている程度だが、これが悪化して魔力をすべて奪われる事態になると、王都は大混乱に陥る」


 魔力は俺たちの生活に不可欠。

 火を起こしたり水を生み出したり、武器として魔物と戦ったり……。

 たとえるなら空気を奪われるようなものだ。


「で、誰なのじゃ? そんな大それたことをしておるのは」

「目下、調査中だ」

「それをわたくしたちにさがさせるおつもりですのね」

「そうだ。魔力を奪っている者をさがすのだ」

「キルステンさま。手がかりはあるのですか?」

「今のところはまったく無い」


 手がかりが無いとなるとさがしようがない。

 だが、王都全体の魔力を奪うような大規模なまねをするなら、なにかしら痕跡は見つかってもおかしくないはず。

 キルステンさんの話によると、ギルドの調査隊によって悪事を働いている者がいないかさがしているものの、未だそういった者は見つからないとのこと。


「アッシュ・ランフォード。お前の知恵を借りたい」

「……」


 自然現象という可能性を捨てるなら、誰かがどこかで吸収した魔力を蓄えているはず。

 だが、ギルドの調査では異様な魔力がある場所は見つかっていないらしい。


 隠している?

 あるいは、まださがしていない場所がある?


「スセリならできるんじゃないか? 魔力を探知するのを」

「できるのじゃ」


 王都全域の地図を広げる。

 スセリが魔力探知の魔法を発動させる。

 これで魔力がある場所に青い光が浮かび上がるはずだ。


「……これは」

「……なるほど。見つからないわけですね」


 王都のある一点だけ、青色に強く発光する部分があった。

 王城だ。

 さすがにギルドも王城の調査までは恐れ多くてできなかったのだ。


「王国がひそかに魔力を奪ってますの!?」

「そう考えるのは早計だ」

「なら、直接質問すればよかろう」

「それができれば苦労はしない」


 いくら冒険者ギルドとはいえ、絶対なる王国を疑うなどしたらどうなるか……。

 そこまでの力は今の冒険者ギルドには無い。


「ならばワシが尋ねよう。この『希代の魔術師』がな」


 王国という強大な存在に平然と意見を述べられる人間。

 王家も一目置く、不老不死の魔術師であるスセリ以外に誰がいようか。


「お前を国王陛下に合わせるのは心配だが、頼るしかあるまい。くれぐれも問題は起こすなよ」

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