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103-2

「だからアッシュくん。俺とイリスと共にラジオ塔に急ごう」


 俺は目を丸くした。

 暗号がかかっているならじゅうぶんに準備してからでもいいはず。

 それに二人を連れていくには危険すぎる。


「二人はここで待っていてくれ」

「それはならんぞ、アッシュよ」


 スセリが言う。


「ロッシュローブ教団がこのあとどう行動するか考えてみるのじゃ」


 ロッシュローブ教団はなんとしても暗号を解読してラジオを手に入れなければならない。

 だとすると、連中の取る行動は……。

 ケイとイリスをさらって暗号を解除させるつもりだ!


「ロッシュローブ教団は俺とイリスをさがしだすはず。そうなると連中はケルタスの街にやってくるだろうね」

「私たちのせいでケルタスの人々に迷惑はかけたくないの」


 連中なら兄妹の居所をつかむために住民を脅迫してもおかしくない。

 いや、間違いなくそうする。


「……急ごう」


 そうして俺たちはラジオ塔のある遺跡へと急行した。

 プリシラとマリアは他の冒険者の協力を得るため、冒険者ギルドへ向かわせた。

 ラジオ塔の前にいるのは俺とスセリ。それとケイとイリス。


 塔の入り口の前にはロッシュローブ教団の教徒が二人、見張りとして立っていた。

 俺たちの存在に気付いた二人が武器を構える。


「貴様たちは……! よくもこざかしいまねをしたな」

「だが、お前たちからわざわざ来てくれるとはな。さがす手間が省けた」

「……ケイとイリスはさがっていてくれ」


 俺は金属召喚で剣を呼び出して手にする。

 スセリは片手に魔力を集中させる。


 教徒の二人が同時に襲いかかってきた。

 手にしたナイフを水平に構えて突っ込んでくる。


 スセリがホコリを払うような動作で手を軽く横に振る。

 そうした次の瞬間、彼女の目の前で小規模な爆発が発生し、教徒をまとめて吹き飛ばした。

 宙を舞って地面に激突する教徒二人。


 障害を排除した俺たちはラジオ塔の内部に入った。

 内部にもロッシュローブ教団の教徒は大勢いた。

 俺たちを見るなり連中は襲いかかってきたが、俺とスセリの連携で倒していった。


「あなたたち、本当に強いのね」

「当然なのじゃ。ワシは『稀代の魔術師』で、こやつはその後継者なのじゃから。その気になれば二人で世界だってたやすく滅ぼせるのじゃ」


 目をパチパチさせるイリス。

 驚くのも当然だが、スセリの言葉は決して誇張ではない。

 俺とスセリ、そして魔書『オーレオール』があればこの世界を滅ぼすのも可能だ。

 もちろん、俺はそんなことするわけないが。


 昇降機に乗って上の階へと昇る。

 襲いくる教団を退けつつ、ラジオの操作室の前へとやってきた。

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