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101-1

 後日、俺とプリシラとスセリとマリアの四人で塔へと赴いた。

 セヴリーヌは興味がないらしく、家に残るとのこと。


 塔は遺跡群の中心に、王のごとくそびえ立っていた。

 かなり背が高い。

 首が疲れるくらい俺たちは顔を上げて塔を仰いでいる。


 遺跡群には『ビル』と呼ばれている古代文明の塔がいくつもあるが、今回出現した塔はそのなかでもひときわ背が高い。

 これが地面からせり出してきたのか……。


「さて、さっそく中に入ってみよう」

「待ってください、アッシュさまっ」


 俺が塔の入り口のガラス扉を開けようとしたとき、プリシラがそれを止めた。

 プリシラは恥ずかしそうに上目づかいでもじもじしている。


「そ、その……。扉を開けるのはわたしにまかせていただけませんか?」

「あ、ああ……。いいぞ」

「ありがとうございますっ」


 罠でも仕掛けられているのか……?

 プリシラは数歩前に出て扉の前に立った。

 ガラスの扉は触れることなく左右に開いた。


「楽しいですね、自動ドア!」


 くるりと振り返ってきたプリシラは目をきらきらと輝いていた。

 12歳だもんな。こういうのが楽しい年ごろなのだろう。


 プリシラが後ずさる。

 ガラスの扉が閉まる。

 再び前に出るプリシラ。開く扉。


「楽しいですーっ」

「い、いつまで遊んでおるのじゃ……。行くぞ」


 辛抱できなくなったスセリが一番に塔の中へと入っていった。



 塔の内部。

 冒険者ギルドの話によると、機械式の昇降機が動かないため、一階のフロアしか調査できてないという。

 階段も天井が崩落していて登れないらしい。


 塔の正体をつかむには上の階に上る必要があるは間違いない。

 俺たちは昇降機の出入り口の前までやってきた。


「よし、アッシュよ。おぬしの魔法で昇降機を起動させるのじゃ」


 万能たる魔書『オーレオール』の魔法ならば昇降機を生き返らせることも可能だ。

 俺は昇降機の操作盤に手を触れる。

 そして精神を集中させる。


 魔書『オーレオール』から流れてくる魔力を受け取って、それを昇降機に流し込む。

 しばらくすると、昇降機のスイッチと階数を示す頭上のパネルが点灯した。

 これで昇降機が使えるようになった。


「おぬしも随分と『オーレオール』を使いこなせるようになったの」

「スセリに追いつけたか?」

「うぬぼれてはいかんぞ。のじゃじゃじゃじゃっ」


 5、4、3……と頭上のパネルの点灯している数字が変わっていく。

 昇降機が下りてきている。

 そして1になると扉が開き、昇降機が俺たちを手招きした。


 ……が、思いもよらぬことが起きた。


「お前らか! エレベーターを起動させたのは!」


 昇降機にはすでに人が乗っていたのだ。

 鉱山労働者のヘルメットをかぶった青年。

 手には短槍を持っている。

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