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「見事な連携なのじゃ」
「わたくしとアッシュにかかればたやすいものですわ」
不意打ちが見事に決まって無傷で魔物を倒せた。
先へ進むと階下へ続く階段があった。
階段を下りる。
降りた先には分岐。
「ここは右へ進んでください」
プリシラの指示に従って右の道を進む。
しばらく進むと、天井が崩落していて道がふさがってしまっていた。
「はわわっ、これじゃ地図を描き換えないといけませんっ」
「さっきの分岐に戻って左に行ってみるか」
「左からでも階下への階段に行けますが、少し遠いですね。機械人形もいるみたいです」
「では、機械人形を討伐して左を正規の順路として描き換えるのじゃな」
「そうですね」
いったん分岐まで引き返して左の通路を進む。
「次の曲がり角の先に機械人形がいるみたいです」
そっと曲がり角からのぞくと、プリシラの言うとおり、機械人形がいた。
今度は人型の機械人形だ。手に銃を持っている。
旧人類が健在だったころは警備の任務があったのか、一定の速度で決まった道を巡回している。
「さっきと同じだ。俺が魔法で先制攻撃する」
「頼みましたわよ」
俺は曲がり角から飛び出たのと同時に魔法を放った。
「雷よ!」
かざした手から幾重にも折れ曲がる稲妻が走る。
機械は雷に弱い。これをくらえば機械人形も一撃で倒せる。
……と思ったのが浅はかだった。
雷が機械人形に到達した瞬間、機械人形の表面に光の膜が現れて雷をはじいた。
魔法障壁!? 油断した!
機械人形がこちらを向き、銃口を向けてくる。
「防げ!」
魔法を唱える。
こちらも魔法障壁を発生させて銃撃を防いだ。
「てやーっ」
なんと、マリアが機械人形に飛び蹴りをかました。
吹っ飛ばされる機械人形。
壁に叩きつけられて崩れ落ちる。
俺は金属召喚で大きなカナヅチを呼び出す。
それを手に取る――って、重い!
ふらつきながらもそれを構えて走り、機械人形の頭に叩きつけた。
振り下ろされたカナヅチは魔法障壁を叩き割り、そのまま機械人形の頭を粉砕した。
機械人形は機能停止した。
「ふーっ」
危ないところだった。
まさか薄い魔法障壁を展開していたなんて。
「はしたないところを見せてしまいましたわね」
せき払いするマリア。
いや、かっこよかったぞ。
「アッシュよ。浮気をしたらあの蹴りがおぬしの腹に飛んでくるのじゃぞ。ゆめ覚悟せい」
スセリが耳打ちしてくる。
あの蹴りをくらったらひとたまりもないだろう。
それから通路を進むと再び階下への階段に到達した。
「ちょっと待ってくださいね」
プリシラが地図をがんばって描いている。




