94-2
「プリシラ。あなたが死神を引きましたの?」
「はわわっ」
プリシラが慌てて首を横に振る。
「ちちちち違いますっ。わたしじゃありませんっ」
「そ、そうですの……」
本人は否定するもバレバレだ。
スセリがなにやら考えごとをしている。
「しかし、ただ勝負してもつまらんの。アッシュよ。勝負に必要なものはなんだと思う?」
「報酬って言いたいんだろ」
「あるいは敗者への罰じゃな」
スセリは勝者への褒美か敗者への罰が欲しいらしい。
「単なる遊びでそんなもの必要か?」
「必要ですわ」
スセリの代わりにマリアが答える。
「褒賞や罰があるからこそ勝負に真剣になれますのよ」
「真剣になる必要も……。暇つぶしに気軽にやる程度で――」
「ダメですわ」
ぐいっと真剣な顔を近づけてくる。
「わたくし、勝負ことにはなんであろうと本気になりますの」
そうだった。
マリアはそういう女の子だった。
「そういうわけで、勝者への褒賞を決めますわよ」
「勝者はアッシュとのデート権獲得はどうじゃ」
「いいですわね」
よくない。
「俺が勝った場合はどうするんだ」
「わたくしたちの中から好きな子を選んでデートしてもいいですわよ」
「ふむ……」
悪くない。
というか、スセリがろくでもないことを言いだす前に妥協したい。
「わかった。俺が勝ったら好きな子とのデートだ。お前以外を選んでも恨むなよ、マリア」
「な、なんでわたしを名指ししますのよ」
「一番文句を言いそうだからな」
「失礼ですわね……」
マリアはほっぺたをふくらませて抗議していた。
「では、負けた者はどうするかの」
「はうう……」
「せっかくじゃから、とてつもなく屈辱的な罰にしたいのう。のじゃじゃじゃじゃっ」
「はううう……」
にやにやしながらプリシラを見るスセリ。
死神のカードを持っているプリシラはすでに一歩、敗北へと近づいているのだ。
「負けた人はデートについてきて荷物持ちはどうだ」
プリシラを助けるため、俺はそう提案した。
「あんまり罰っぽくないのじゃ」
「わ、わたしはそれがいいと思いますっ。名案ですっ」
「まあ、仲良くデートしておるのを指をくわえてみておるのも罰か」
「決定だな」
ご褒美と罰も決まったことでゲームが開始した。
俺から順番に時計まわりで隣の人のカードを引いていく。
絵柄がそろって捨て札を出せる者もいれば、そうでない者もいる。
ここまでは順調だ。
というか、身もふたもないことを言えばこの『オールドメイド』というゲーム、最終盤になるまで茶番なのである。
「あーがりっ、なのじゃ」
なんだかんだでスセリが一番に上がる。
「わたくしも上がりですわ」
二番目はマリア。




