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91-5

「ゴルドカリバーをくれれば一日くらい地上に出てもいいわ」

「大地の神もそう言ってる。挑戦しよう」

「ううう……。ワシの経験値が……」

「失敗しなければその経験値とやらもなくさないのでしょう? 覚悟を決めてくださいまし、スセリさま」


 スセリは渋々端末を操作しはじめた。

 ゲームを起動する。

 難関ダンジョン、デスストーム城の攻略を開始した。


 画面に映っているのは、いかにも邪悪な魔王が住んでいそうな恐ろしげな城。

 そこに四人の勇者たち――スセリが操作するキャラクターたちが乗り込む。


「がんばってくださいっ、スセリさま」

「手堅くいきますのよ」

「気が散るから黙っておれ」


 俺たちはおでこがぶつかるくらい顔を近づけあって、スセリの操作する端末をのぞき込んでいた。

 城に出現する魔物をスセリは順調に倒している。

 だが、戦うたびに攻撃を受けているので体力も少しずつ削れていく。


「そろそろポーションで回復したほうがいいんじゃないか?」

「アッシュさま、詳しいですね」

「スセリに経験値稼ぎをまかされることが結構あるからな」


 だから知っているのだ。

 スセリのレベルではデスストーム城の攻略が厳しいことくらい。

 それでも彼女にはがんばってもらわないと。


 ボスが待つ最奥に近づくにつれ、出現する魔物も強くなっていく。

 最初は楽勝だったスセリも、だんだんと苦戦するようになってくる。

 必然的に回復する頻度も増え、ポーションの所持数も不安になるほど減っていた。


 そしてついにキャラクター一人が戦闘不能になってしまった。


「魔法使いさんが倒れてしまいました!」

「死んでしまいましたの?」

「残念じゃが、こいつはここで脱落なのじゃ」


 仲間が一人減ると、ますます戦いは厳しくなる。

 魔物と出くわすたび、少なからぬ消耗を強いられる。

 残されたポーションの数も心もとない。


 もはや限界だ。

 だが、スセリは勇者たちを先へと進めていた。


「スセリ、いいのか? このままだとやられるんじゃ……」

「やらねばならぬのだろう? 覚悟はできたのじゃ」

「ありがとう」

「頼られるのは存外いい気分じゃからな」


 そしていよいよ勇者たちはボス部屋までたどり着いた。

 邪悪な姿をした魔物が立ちはだかる。

 こいつを倒したらゴルドカリバーが手に入る。


 だが、勝てるのだろうか。

 相手ははるかに格上の相手。

 そのうえこちらは魔物との立て続けの戦闘で手傷を負っている。


「スセリさま! やっつけましょう!」

「蹴散らしてくださいまし!」

「スセリ、信じているぞ」

「よし、ゆくのじゃ!」


 勇者たちがボスにおどりかかった。

 ありったけの力を使ってボスに挑み、死闘の末にボスは倒れて消滅した。

 スセリが勝ったのだ。

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