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91-3

 覚悟はしていたが、階段はかなり長く、登りきるころには全員息切れしていた。

 服の面積が多いマリアはひどく汗をかいている。


「アッシュ! 離れてくださいまし!」

「いきなりそれは傷つくんだが!?」


 俺をキッとにらみつけていたマリアが慌てて言い訳する。


「あ、いえ、その……。お化粧が汗で落ちてしまって……」

「化粧なんかなくたってマリアはきれいさ」

「まあ、アッシュったら」


 マリアがぽっと頬を赤く染めて照れる。


「ちなみにワシはすっぴんなのじゃ。幼い少女の肉体を選んで正解だったのじゃ」


 別にえらくもないのにスセリが胸を張る。


「わ、わたしもお化粧したことありません! したほうがよいのでしょうか……」

「プリシラには早いんじゃないか?」

「そ、それはまだ子供だからという意味でしょうか……」


 しゅんとうなだれるプリシラ。

 乙女心って難しい!


 先へ進むと、そこにも広い空間があった。

 以前の二つとは異なるのは、中央にほこらがあること。

 大地の神を祀るほこらに違いない。


「大地の神よ、姿を現してくれ」


 俺は大地の神に呼び掛けた。

 すると、ほこらの前の空間がゆらぎ、人の姿がぼんやりと現れた。

 ぼやけた輪郭が徐々に鮮明になり、女性の姿に固定された。


 簡素な白い衣をまとった女性。

 彼女が大地の神だろう。


「立ち去れって言ったのに……」


 大地の神は恨めしげに言った。

 俺たちはここに来た理由を彼女に説明した。


「そういうわけなのじゃ。おぬしがうるう年の一日を受け持つがよい」

「イヤ」

「なんじゃと!?」

「一日でも面倒なのに、二日もこの島を支配するなんてイヤよ」

「普通、神といえば地上を支配したがるものではないのか? 信仰はいらんのか?」

「土壌は程よく潤して作物を実らせているし、あとは適当な日に地面を揺らして怖がらせれば、島民はいい感じに畏敬を持ってくれるもの。わざわざ地上に出るまでもないわ」


 大地の神の返事に俺たちはそろって呆れかえっていた。

 想像していた神さまと違うな……。


 ピロリン、と音がなる。

 端末の通知音だ。

 スセリは端末の画面を見るが、首をかしげる。


「スタミナ回復の通知かと思ったが、なにも来ておらんぞ」

「あ、私の端末だ」


 大地の神はおもむろにほこらの中から平べったい物体を持ってきた。

 端末だ!


「神さまも端末を持っているのですか!?」

「旧人類が滅びる前にもらったの。ちょっとスタミナ消費させるから待ってて」


 大地の神は指をさっさと滑らせて画面を操作する。

 ……神さまもゲームをするとは世も末だ。

 スセリが肩越しに画面を盗み見る。


「このアカウント名は見覚えがあるのじゃ! スコア最高記録のプレイヤーなのじゃ!」

「それってすごいのか?」

「スコアは単純にプレイした時間数に比例する。つまり、こやつは一日中ゲームをしておるのじゃ!」

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