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91-1

 その先は細い通路が続いてた。

 薄暗く、じめじめしていて不気味だ。

 プリシラもマリアも不安そうな面持ち。


「次はどんな試練が待っているのでしょう」

「あれで終わりではありませんの?」

「うーん、どうじゃろうな」


 そんなときだった。

 ――立ち去れ。

 そんな低い女性の声が響き渡ったのは。


「ひゃあああっ!」

「なんですの!?」


 マリアとプリシラが俺に抱きつく。


「おぬしは大地の神か?」


 スセリが頭上の空間に問いかける。

 ――立ち去れ。

 しかし声は同じ言葉を繰り返すばかりだった。


 しばらくすると声は聞こえなくなった。

 二人が俺の身体から離れる。


「い、今のは一体……」

「戻ったほうがよろしいのでしょうか」


 もしかしたら、部外者の俺たちが神聖な場所に立ち入ったせいで、大地の神の怒りにふれてしまったのかもしれない。

 だとすると、すぐにでも引き返して代理の人物を向かわせるべきだ。


「いや、進むのじゃ」


 しかし、スセリがそう言う。


「人から『やれ』と命令されたら『嫌だ』と言いたくなるのが人間のさがというものじゃろう?」


 ドヤッと笑った。

 それはスセリ、お前だけだ……。

 俺とプリシラとマリアはそろって呆れた顔をしていた。


「冗談じゃからそんな顔をするでない。試練のたびにさっきの警告をされるのかもしれんぞ」

「そうかもしれませんわね」


 一応、年長者の意見を尊重して先へと進むことにした。

 少し歩いているが、先ほどの声は聞こえてこない。

 そして通路が終わって先ほどと同じような広間に出た。


 だだっ広い、天井の高い空間。

 声や足音がよく反響する。

 先ほどのゴーレムがいた空間とは違った箇所がひとつだけあった。


「台座か……?」


 広間の中央に、一段高い台座のようなものがあった。

 台座は縁があり、中央部分がへこんでいる。

 なにかの物体を固定するもののようだ。


 気になるものの、いったんそれを無視して先へと進もうと試みる。

 ところが先へ続くであろう石の扉はかたく閉ざされており、それを阻んでいた。

 となると、やはり中央の台座があやしい。


「アッシュさま、これはなんでしょう?」


 プリシラがなにかを抱えていた。

 石板だ。

 なんの変哲もない、石の板。


「あら? よく見るとその石板、あちこちに落ちていませんこと?」


 俺たちは広間に散らばっている石板を集める。

 石板は全部で16枚あった。


 なにかを固定するための、中央がへこんだ台座。

 16枚の石板。

 それで察しはついた。


「わかりましたっ。この石板を台座にはめるんですっ」


 プリシラが意気揚々と石板を台座にはめていった。

 さすが半獣。重い石板を次々と手にしててきぱきとはめていく。

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