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90-7

 狭い通路を進んでいくと、開けた空間に出た。

 正方形の広間。天井が高い。

 魔法なのか、四方の壁にはたいまつが掛けられていて空間をまんべんなく照らしていた。


 いかにもなにかありそうな場所だ。

 俺たちは警戒する。

 プリシラがぴくんと獣耳を動かす。


「上です!」


 いっせいに上を見上げる。

 すると、はるか上から大きな物体が降ってきた。

 ズドン、と豪快な音を鳴らし、広間を振動させてその物体は着地した。


 石で組み上げられた人型の物体。

 ゴーレムだ。

 儀式の試練が立ちはだかった。


「あの、わたしたち、どうしても大地の神さまに会いたいんです。通してもらえませんか?」


 プリシラが平和的解決を試みる。

 ゴーレムは無言で立ちふさがったままでいる。


「プリシラ。会話よりもっと手っ取り早い方法がありましてよ」

「や、やっぱり戦うんですね……」


 マリアは魔法で出した光の剣を、プリシラはロッドを構える。


「こんなやつ、『オーレオール』の魔力があればアッシュの魔法で一撃で粉砕じゃろう」

「いや、この地下で大規模な魔法を使ったら崩落しかねない。ここは二人にまかせよう」

「ふふっ。アッシュの出る幕はありませんわ」

「メイドの威信にかけて倒してごらんにいれます!」


 プリシラとマリアがゴーレムに躍りかかった。

 ゴーレムが巨腕を振り回して応戦する。

 二人はそれを巧みにかわし、受け流し、攻撃を加える。


 動きが鈍重なゴーレムは二人の攻撃をもろに受けているが、石でできた固い身体はびくともしない。

 マリアの息が上がってきている。

 む、村人たちは毎年こんな強敵を倒しているのか……?


「こんな手ごわい相手、普通の村人では倒せんのじゃ」

「スセリもそう思ったか」

「もしや、大地の神がワシらを拒んでいるのかもしれぬ」

「どうしてだ?」

「会って尋ねればよいじゃろう。おーい、いつまでたわむれておるのじゃ」


 苦戦する二人に業を煮やしたスセリが手をかざす。


「放て」


 そう唱えた次の瞬間、彼女の手から射出された光の矢がゴーレムの頭部を射抜いた。

 頭を失ったゴーレムは、死んだかのようにだらんと両腕を垂らし、前かがみになって動きを止めた。

 ゴーレムを倒した。


「おいしいところ横取りしないでくださいまし」


 マリアがぷんすかスセリに怒る。


「いやいやいや、思いっきり苦戦しておったじゃろ……」

「ふがいないメイドですみません、アッシュさま……」


 プリシラはいいところを見せられず落ち込んでいた。


「ありがとう、プリシラ。その気持ちでじゅうぶんだ」


 スセリに手柄を譲るかたちで敵を退けた。

 俺たちはゴーレムの脇を抜けて先へと進む。

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