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外に出て状況を確かめようとするも、扉にはカギがかかっている。
「閉じ込められてますのよ」
「どうして」
「わかりませんわ。わたくしたちもついさっき目を覚ましたところですもの」
すると、がちゃりとカギが回される音がして扉が開いた。
現れたのは村長と若い男性が二人。
……男性たちは槍を持っていて、しかも矛先を俺たちに向けている。
「許してくだされ、冒険者どの。ターナさまに害を及ぼす者にはこうするしかないのです」
「ターナ『さま』って……」
「ターナさまがいなければ、ホワイトフェザーの人々は寒さと飢えで生きていられなくなるのです」
ようやく状況が理解できた。
村の人々はターナの味方なのだ。
「こ、ここから出してくださいっ」
「それはできませぬ」
首を横に振る村長。
「みなさんがターナさまを捕まえるのをあきらめて村から立ち去るのを約束してくだされば、すぐにでもここからお出ししましょう。食事の時間になりましたら、返事を聞きにまた来ます」
村長たちが去る。
もちろん扉にカギをかけて。
「して、どうするのじゃ?」
スセリが俺に問う。
プリシラもマリアも俺を見ている。
状況を打破すること自体は、はっきり言ってかんたんだ。
身体能力に優れたプリシラや魔法が使える俺やマリアやスセリならこんな扉、かんたんに破壊できる。
武器を持っているとはいえ、単なる村人なんて敵ではない。
力ずくでここから出れば済む話だ。
だが、本当にそれでいいのか。
和解を最初からあきらめて力ずくの手段を行使するのが冒険者のありかたなのか。ここの人たちは決して敵ではないのだ。
話を聞く限り、村人たちにも事情があるのだろう。
ターナがいないとこの厳しい寒さを耐えていけないと言っていた。
そんな彼らを無視してターナを倒すのは間違っている。
「アッシュ」
「アッシュさま」
「アッシュ、どうしますの?」
「……村長からくわしい話を聞こう」
それからいくらか時間が経ち、食事の時間になった。
約束どおり、再び村長が武器を持った若者を連れて現れた。
村長が言うに、ターナはこの村の恩人とのこと。
部屋を暖める魔法の道具を作ったり、寒さにも耐えうる作物を作る技術を村人たちに教えたり、凶暴な魔物を討伐してくれたりと、ターナは村に尽くしてくれていた。
この過酷な地で生きていくのに、ターナの助けは不可欠だった。
「ターナさまが乱心なさった話は聞きました。しかし、それでも私たちはターナさまを見捨てるわけにはいかないのです。理解してくだされ」
意外だった。
俺の印象では、ターナは狂気に取りつかれた魔女だったから、人助けをしていただなんて。
「ターナはおぬしらに恩を売って身を守っているのじゃ」
「それでも結構。私たちはターナさまの味方です」




