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83-2

 スセリがカードを手に取ってしげしげと眺める。

 スセリも銀色の髪の少女。

 カードの絵柄も銀色の髪の乙女。


 なんらかの関係があるのでは――というのは考えすぎだろうか。

 それにしても、占いの結果は『わからない』だなんて。

 今回の冒険も一筋縄ではいかなそうだ。


 日が暮れるころ、列車は小さな町の駅に停車した。

 今日の運行はここまでで、乗客はいったん降りて町で一泊する。

 その間、列車も燃料を積んだり整備をしたりする。


 俺たちは冒険者ギルドが手配してくれた宿屋に行き、チェックインした。


「長旅お疲れさまでしたー。ゆっくりとおくつろぎくださいねっ」


 宿屋の受付はプリシラと同い年くらいの女の子だった。

 茶色いおさげの髪の純朴そうな少女だ。

 家の手伝いなのだろうか。


 彼女は元気な笑顔で接客してくれた。

 きっと素直で明るい性格なのだろう。この子がいるだけで家庭も明るくなりそうだ。

 どこぞの宿屋の看板娘は見習うべきだな。


「かわいいな」


 ついぼそっとつぶやいてしまったその瞬間、プリシラとマリアがぎょっとした顔になった。

 それからジト目で詰め寄ってくる。


「アッシュさまー?」

「あなた、婚約者の前でいい度胸していますわね」

「誤解だって! 明るい元気な子だなって思ったんだ!」

「ありがとうございまーすっ、お客さまっ」

「あまりにもうかつなのじゃ」


 少しばかりの時間を言い訳に費やしたあと、夕食を食べに大衆食堂に足を運んだ。

 広い食堂にテーブルがいくつも並び、客たちが食事を楽しんでいる。

 俺たち以外の列車の乗客らしき人も結構いた。


「いいにおいですー」

「おなかぺこぺこですわ」

「酒なのじゃー」

「スセリにはたぶん、酒は出してくれないと思うぞ」


 空いている席に座ると、すぐさま店員が注文を聞きにやってきた。

 俺は鶏肉のバター炒めと決めていた。

 ……はずが、スセリが余計なことを言いだした。


「アッシュよ。おぬし、この挑戦を受けるのじゃ」


 スセリがテーブルの脇に置かれていた紙をよこしてくる。

 ――超大盛りカレー! 時間内に完食できたら賞金をさしあげます!

 と書かれている。


「カレーってどんな料理だ?」

「ライスに辛いシチューのようなものをかけた料理なのじゃ」

「おいしいのですか? スセリさま」

「いにしえから親しまれておるからおいしいのじゃろう」


 スセリによると、古代文明では大衆に人気の料理だったらしい。

 カレーという料理には興味あるものの、別に旅の資金に困っているわけではないし、俺は大食いでもないから挑戦するつもりはない。

 と考えていたらスセリが先手を打ってきた。


「ここで逃げてはランフォード家の面汚しじゃぞ」

「大げさすぎるだろ」

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