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82-1

 俺とターナの放った魔法は相殺し、互いに無傷。

 爆風で粉塵が舞って、プリシラがけほけほと咳き込んでいる。


「現代の人間がナノマシンの存在を知っているからおかしいと思ったのよ。あなたが『稀代の魔術師』の後継者なら納得ね」


 ハイヒールの固い音を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。

 攻撃すべきか。

 ターナのほうに攻撃する気配はないようだが。


「『稀代の魔術師』に伝えてちょうだい。今こそ互いの恨みを晴らすべき――って」


 そう言うとターナは人差し指をプリシラに向けた。

 するとプリシラの首に黒い輪が出現した。


「なっ、なんですか!? これは!」


 プリシラが黒い首輪をつかむ。

 力を入れても首輪は外れそうにない。


「それは魔法の首輪。私が念じるだけで首輪が絞まり、あなた、あっというまに窒息しちゃうわよ」

「ひえっ……」

「死ぬのは怖い? 怖いわよね」


 プリシラに顔を近づけ、悪意の笑みを浮かべるターナ。

 プリシラは怯えた表情になり、涙を浮かべる。

 目をつぶると涙がこぼれ落ちた。


「安心して。私に攻撃さえしなければ外してあげるから」


 ターナは俺たちの脇を通り過ぎていく。


「さようなら。そして、また会いましょう」


 魔女は通路の曲がり角に消えた。

 それと同時にプリシラの首にはめられていた黒い輪が消えた。


「アッシュさまー! 怖かったですー!」


 プリシラが俺に抱きついてわんわん泣きじゃくった。

 俺は彼女の頭をなでてあやした。

 それから端末を操作し、スセリに連絡した。


「なにか見つかったかの?」

「『冬の魔女』ターナに会った」

「……」


 沈黙。


「ナノマシンを制御しているらしい部屋に彼女はいた」

「そこで待っているのじゃ」


 しばらくしてスセリとマリアが到着した。

 スセリはいつになく真剣な面持ちで部屋の装置を操作している。

 俺にはなにがどうなっているのかさっぱりわからない。


「どうだ? ナノマシンに関係あるか?」


 スセリは残念そうに首を横に振った。


「その痕跡はあったが、今は削除されておるのじゃ。ターナのしわざじゃろう」

「ターナとはスセリさまの知り合いですの?」

「不老不死の研究をしておった同胞じゃ」


 スセリはあごに手を添えて考え込む。


「アッシュとプリシラが見たターナは若い女の姿だったらしいが、ワシが最後に見たあやつは老婆じゃった」

「スセリさまのように若返ったのですわね」


 魂を別の場所に移すことで疑似的に不老不死になったスセリ。

 時を凍結させ、永遠の子供でいることで不老になったセヴリーヌ。

 ターナもなんらかの方法で若返り、そしておそらく不老になった。

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