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78-2

 腹を立てている本人には悪いが俺は「なるほど」と納得してしまっていた。

 もちろん口には出さなかった。


「と、とにかく助かった。みんな、ありがとう」


 無事に合流できた俺たち四人は再び洞窟を進んでいった。

 地図描きのプリシラのおかげで道には迷わなかった。

 しばらく進むと、進む方向から風が吹いてくるのに気付く。


 うっすらと明るくなってきた。

 自然と俺たちは早足になる。

 道を曲がると、ついに光を――洞窟の出口を発見した。


「外に出られましたーっ」


 ついに俺たちは洞窟を出られたのであった。

 みんな、ほっと息をつく。

 なんとか無事に出られてよかった。


 久しぶりの太陽がまぶしくて目を細める。

 少しずつ光に目を慣らしていく。


 山をはさんだ反対側に俺たちはいた。

 背の低い緑の草が茂る平原。

 めったに人が訪れない場所なのだろう。道は整備されていない。


「さて、マルタの木はどこにあるのかしら」


 周囲を見渡す。

 平原には木がいくつも生えている。

 どれもありふれた木に見える。


 このだだっ広い野原からマルタの木をさがすとなると骨が折れる。


「マルタの木の見分けかたはご存じですか。ラピス王女」

「木はわかりませんが、木の実はこういう形をしているらしいです」


 ラピス王女が手帳を開く。

 そこには木の実が色鉛筆でスケッチされていた。

 緑色の細長い木の実だ。


「わー。ラピス王女さま、絵がとてもお上手なんですねっ」


 プリシラが手帳を覗き込んで言う。

 ラピス王女は「それほどでもありません」と言いながら自慢げな顔をしていた。


「この木の実を片っ端から探していくしかありませんの?」

「いえ、マルタの木は水辺に生えていると図鑑に書かれてありました」

「水辺か……」

「水辺ですねっ」


 プリシラが鼻をくんくんと動かす。

 においを嗅いでいる。


「あっちから水のにおいがしますっ」


 水辺があるらしい方向を指さした。

 さすが半獣。嗅覚も鋭い。水ににおいなんてあるんだな。

 俺たちはプリシラが指さしたほうへ進んだ。


 プリシラの言うとおり、そこには泉があった。

 その周りには木が生えている。

 これがマルタの木の実がなっている木なのだろう。


 ……ところが俺たちはそれを確かめず、少し離れた場所からさっきからずっと眺めているだけだった。

 思いもよらぬものがそこにいたからだ。


「機械人形がどうしてこんなところに……」


 古代の人類が遺した機械人形が泉を守っていたのだ。

 俺たちの少し手前の地面が黒く焦げている。

 つい先ほど、機械人形が光線による攻撃をしてきた跡である。


 泉に近づこうとする者を機械人形は敵とみなしているらしい。

 機械人形は長方形の身体から四つの足を生やし、這うように歩いている。

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