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73-7

 先ほどの人型のブラックマターとは違い、獣型のブラックマターは凶暴だった。

 獣としての本能が現れている。


 獣型のブラックマターの足元に生い茂っていた草が色あせて枯れる。

 ユリエルが言ったとおり、ブラックマターは大地を汚していた。


「ブラックマターは際限なく精霊界に現れる。アタシはそれを狩る者――精霊界の守護者だ」


 獣型のブラックマターがこちらに振り向く。

 俺とユリエルの存在を察知したらしい。

 敵意をこちらに向けてくる。


 うなり声をあげて威嚇している。

 ユリエルも大剣を構えて迎え撃つ態勢をとった。


 駆ける異形の獣。

 ユリエルも大剣を振りかぶりつつ突進する。

 二者が肉薄したそのとき、ユリエルの垂直に振り下ろした大剣がブラックマターの頭部を叩き潰した。


 頭部を失った獣型のブラックマターが倒れる。

 ユリエルが背を向けて俺のほうに帰ってくる。


 しかし、その判断はうかつだった。

 頭部をつぶされたにもかかわらず、獣型のブラックマターが起き上がったのだ。

 一瞬にして頭部が再生する。


「光の矢よ!」


 俺はすかさず魔法を唱えた。

 手から魔法の矢が放たれる。

 その矢はユリエルの顔のそばを通り抜け、大きな口を開けて今まさにユリエルに食らいつこうとしたブラックマターに突き刺さった。


 光の矢は爆発し、獣型のブラックマターの上半身をこっぱみじんにした。

 残った下半身から上半身が再生しようとする。

 俺は先ほど召喚した剣でそれを斬った。


 手ごたえもなく斬れた獣型ブラックマターはかたちを失って大気に霧散し、跡形もなく消滅した。

 今度こそ倒しただろう。


「ユリエル、だいじょうぶか?」

「あ、ああ……」


 油断してしまった自分を恥じているのか、ユリエルはうろたえている。


「き、気安く呼ぶな……」


 強がりを言った。


「でもまあ、礼は言う。助かった。ありがとう」

「二人でいっしょにブラックマターを討伐しよう」

「さっきも言ったが、ブラックマターは無限に現れる。お前、永遠にここにいるつもりか」

「いや……。できることなら帰りたいな」


 とはいえ、ユリエルを放ってはおけない。

 さっきだって俺がいなかったら彼女はブラックマターの餌食になっていた。


「精霊竜さまに言われてお前をここに連れてきたが、アタシは一人でじゅうぶんだ」


 ユリエルはいったん言葉を切ってから「だが」と続ける。


「せっかくだから、何匹かのブラックマター討伐に付き合ってもらう。そしたらお前を帰してやる。いいな?」


 そういうわけで俺はユリエルのブラックマター討伐に付き合うことになった。

 彼女によると、肥大化し続けて手がつけられなくなった、『ヌシ』と呼んでいるブラックマターが何匹かいるらしい。

 その討伐に俺の手を借りたいという。


「ユリエルはいつからここにいるんだ?」

「生まれたときからだ」

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