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73-2

 その後はみんな、リビングでのんびりとくつろいでいた。


「アッシュさま。これ、なんでしょう?」


 プリシラが平べったい物体を持ってきた。

 白と黒の四角いマスで区切られた正方形の板。


「物置にしまってあったのですが。キルステンさまの私物でしょうか」

「これはボードゲームの盤だな」

「ボードゲームですか。ということは、サイコロを振ってゴールを目指すのですね」


 そういえば以前、セヴリーヌとボードゲームで遊んだっけな。


「これはそのボードゲームとは違う遊びさ」

「プリシラ。これは『シャトラ』というゲームですわ」

「白と黒のコマもいっしょにあったはずじゃ」

「あっ、そういえばありました」


 プリシラは再び物置に戻って、白と黒のコマが入った箱を持ってきた。

 俺とマリアは箱から出したコマを盤上に並べる。

 コマは白と黒の陣営に分かれて対峙した。


「なんだか戦争でもするみたいですね」

「そのとおり。これは戦争を模したゲームだ」


 白の陣営と黒の陣営が交互にコマを動かして戦い、相手のキングのコマを倒せば勝利。

 それがこのシャトラというボードゲームである。


「遊んでみるか?」

「はいっ」


 俺が白の陣営。

 プリシラが黒の陣営。


「よく見ると、コマにもいろいろ種類がありますね」

「コマの種類によって進める範囲が違うんだ」

「わたくしが教えてさしあげますわ」


 そういうわけで俺とプリシラの対戦が始まった。

 俺とプリシラは交互に自分のコマを進めていく。


「ナイトのコマはナナメに進めますのよ」

「ナ、ナイトのコマはナナメ……。はいっ。おぼえましたっ」


 マリアに指示されながらプリシラはコマを動かしている。

 実質、俺とマリアの戦いだ。

 しばらく経って……。


「アッシュ。大人げなくありませんこと?」


 マリアに非難された。

 戦況は俺が優勢。


「さすがアッシュさまです。ゲームでも強いんですねっ」


 マリアが相手とはいえ、ここはプリシラに気持ちよく勝たせてあげるべきか。

 今更ながら反省した。

 それから俺はあからさますぎるほど加減をし、戦況はまたたく間にプリシラ優勢になった。


「ちょっとアッシュ。手加減は許しませんわよ」

「どっちだよ……」


 俺はどうすればいいんだ……。

 結局、ゲームはプリシラが俺のキングのコマを倒して勝者となった。

 プリシラがぺこりとおじぎする。


「勝たせていただきありがとうございます、アッシュさま。やはりアッシュさまはおやさしいですね」

「けっこう難しいだろ」

「は、はい。わたしにはちょっと難しかったです……」


 シャトラは運の要素が絡まない、正真正銘の頭脳戦。

 息抜きに遊ぶようなゲームではないのは確かだ。

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