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71-7

 剣の腕が立つエレオノーラさんとベオウルフが勝ち進んだのは順当だが、スセリが勝ち残れているのは妙だった。

 スセリは『稀代の魔術師』だが、剣術に秀でいているわけではない。

 にもかかわらず、彼女は剣に覚えのある者たちを次々と負かしている。


「スセリ。お前、密かに身体能力強化の魔法を使ってるだろ」

「ワシが卑怯な手を使うような人間に見えるのか?」

「見える」

「ご先祖さまに容赦ないのう」


 兵士がスセリに話しかける。


「スセリ・ランフォード。対戦が近いので控え室にお越しください」

「うむ」


 スセリは俺から離れて控え室に行ってしまった。

 まさかスセリ、本気で優勝を狙うつもりじゃないだろうな……。


 そしてスセリの対戦の順番が回ってきた。

 その戦いを観戦していたが、やはり尋常ではない身のこなしで相手を圧倒していた。

 観客も大盛り上がりだ。


 ロッシュローブ教団は姿を見せぬまま、大会は順調に進行していった。

 そしてとうとう勝ち残った者は8人になった。


 予想外の展開が起きたのはそれからだった。

 エレオノーラさんもベオウルフもスセリも敗退したのだ。


 まさか前回優勝者のベオウルフすら負けるだなんて思いもしなかった。

 しかも、いずれの相手も異様に強く、まるで太刀打ちできなかったのだ。


「いやー、負けちゃったねー。アタシもがんばったんだけどなー」

「ボクはようやく終わってほっとしてます」

「ワシが負けるなどありえんのじゃ」


 次はいよいよ俺の番だ。


「気をつけるのじゃぞ、アッシュ。あやつら、ロッシュローブ教団かもしれぬ」


 それは俺も感づいていた。

 スセリたちを負かした相手はいずれも雰囲気が似通っていた。

 不気味で、静かな殺気を感じる。戦いのために操られる人形のようだった。


 俺の番が回ってきた。

 闘技場の中心に据えられた舞台の上に立つ。

 正面には対戦相手。

 灰色のローブを目深にかぶって正体を隠していて、男女の区別さえつかない。


「アッシュ・ランフォード選手対、レイブン選手、対戦はじめ!」


 戦いが始まった。

 対戦相手――レイブンは微動だにしない。

 俺もその場から動かなかった。


 こいつの戦いは一度観戦した。

 攻撃しに接近した相手をあっという間に倒していた。

 こちらから攻めれば敗北は必至。


 俺は決して自分から動こうとしなかった。

 しかし、レイブンのほうも動かない。

 まるで彫像にされたかのようにその場にたたずんでいる。


「戦わないのであれば試合放棄とみなし両者失格にしますよ」


 審判に警告される。

 それでもレイブンは動かなかった。

 結局、俺から動くしかないわけか。

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