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67-5

 エレオノーラさんは騎士団を代表して王都剣術大会に出場するという。

 となると、剣の腕前は相当なものなのだろう。

 彼女の言動からはそんなふうにはちっとも見えないが。


「アッシュちゃんてランフォード家の人間なんでしょ? 残念だよねー。大会じゃ魔法は使えないもんね」

「ケガしない程度にがんばまりますよ」


 俺たちの本当の仕事は大会に混乱をもたらそうとするロッシュローブ教団を見つけだすこと。大会に出場するのはあくまで参加者として大会内部に侵入するためだ。勝ち負け自体は問題ではない。勝てば勝ち進めばいいし、負ければ教団を見つける時間が多くつくれる。

 ……のだが。


「なにいってるのよ! 全力で戦いなさいっ」


 ――エレオノーラさんはなんだかやる気満々だ。


「立ちはだかる者たちを退けて、しかばねの山の頂点に立つのよ! アッシュちゃんっ」


 物騒な物言いだ……。


「それはともかくとして――」

「おわっ」


 レオノーラさんが背後からぎゅっと抱きついてくる。

 耳をくすぐる甘い声でささやいていくる。


「アタシに紹介してよー。アッシュちゃんの婚約者」

「婚約者じゃないです。それに、キルステンさんの言いつけを守って他人同士のフリをしておいたほうがいいんじゃ……」

「おりこうさんねー。バレやしないって。ね?」


 ウィンクするエレオノーラさん。

 そういうわけで俺は『シア荘』に彼女を連れてきたのであった。


 プリシラ、スセリ、マリアを紹介する。


「メイドのプリシラちゃんにー、ひいひいひいひいおばあさんのスセリちゃん。あとは幼馴染のマリアちゃんね」

「エレオノーラさま。以後、お見知りおきを」

「アッシュ。おぬし、何度女を連れてくれば気が済むのじゃ」

「今回だけは仕事のパートナーだから許しますけれど」


 こうして女子たちが集まるとエレオノーラさんの背の高さが際立つ。

 四人の中で一人だけ頭一つ飛び出ている。俺より背が高いのだから当然だが。


 背の高く、美しい騎士。

 ――と言えば凛々しい女性を連想するが、目の前にいるこの人の性格はおちゃらけている。

 じっと目を凝らして三人を品定めするエレオノーラさん。


「うーん、アタシの好みはプリシラちゃんね」

「こ、光栄です……」

「お持ち帰りしたーいっ」

「ひゃああっ」


 彼女はプリシラに熱い抱擁をしたのだった。

 もしかしてこの人、酔っぱらっているのではないだろうか……。

 そう疑いたくなった。


「王都剣術大会、わたくしたちの手で無事に終わらせましょう。エレオノーラさん」

「そだね。アタシたちで悪者をやっつけよーっ」

「おーっ、なのじゃ」

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