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67-4

「でも、この格好だとエレオノーラさん、騎士だってバレバレじゃ」

「王国騎士団は表立って活動する。その影で動くのが冒険者ギルドだ」

「そーいうこと。それに毎年、騎士団も参加してるしね」


 表と裏、両方からさぐるのか。


「少しでも異変を感じたらエレオノーラに報告しろ。いいな」

「わかりました」

「別に異常がなくてもアタシとおしゃべりしてもいいんだよ?」

「おわっ!」


 背後に回ったエレオノーラさんが俺に抱きついてきた。

 鼻をくすぐる髪からいいにおいがする。

 顔を後ろに向けると、すぐそこにエレオノーラさんの笑顔。

 俺がどぎまぎしているのをおもしろがっている。


「騎士団と出場者がろこつに接触していると怪しまれる。あくまで他人同士を装え」

「ほーい」

「わかっているのか……?」


 キルステンさんは頭を押さえて首を振って呆れたしぐさをした。


「あ、あの、エレオノーラさん」

「なにかな?」

「そろそろ離してください」

「えっ!? アタシみたいな美女に抱きしめられてうれしくないの!?」

「えっと、はい」

「がーん!」


 エレオノーラさんがようやく抱擁をといてくれた。

 彼女はわざとらしくうなだれている。


「ううう……、アッシュちゃんにふられちゃったー」


 なんか、面白い人だ。


「エレオノーラ。冗談だとしても肌を触れあうのはよしておけ。アッシュ・ランフォードには婚約者がいる」

「マジっすか!」

「しかも三人」

「三人!?」

「いえ、三人とも違いますから……」


 エレオノーラさんが少し屈んで俺の顔をじろじろとのぞき込んでくる。

 そこで彼女がかなりの高身長だと気づいた。

 俺よりも背が高いのか。


「うーん、確かに色男だわ。嫁の二人や三人いてもおかしくない」

「エレオノーラさんも美人ですよ。結婚は――」

「してない! カレシ募集中でーすっ」


 満面の笑みでそう答えた。

 エレオノーラさんこそ、美人で性格も明るいのだから恋人がいてもおかしくないのに。


「王都剣術大会は王国の威信を他国に示す意味もある。それをじゃましようとロッシュローブ教団は混乱をもたらそうと画策しているだろう。決してやつらの思い通りにはさせるな」

「わかりました」

「了解っ」


 ギルドを出ると、エレオノーラさんがにこりと笑った。


「エトガーちゃんはああ言ってたけど、仲良くしようね、アッシュちゃん」

「はい。協力して剣術大会を無事に終わらせましょう」

「そーいう意味で言ったわけじゃないんだけどなー。まーいいや」


 エレオノーラさんはぎゅっとこぶしを握る。


「ちなみにアタシ、マジで優勝するつもりだから」

「失礼ですが、剣の腕前の自信は――」

「え? もちろんサイキョーだけど?」


 あっさりと言ってのける。

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