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62-1

 プリシラはランフォード家のメイドで、スセリは我が家のご先祖さまで、マリアは幼馴染だから、キルステンさんの思っているようなのとは違うんです。

 と言い訳しようと思ったが、キルステンさんはそれ以上なにも言わなかったので、俺も余計なことは言わないほうがいいかもな、と思いとどまった。


 冒険者ギルドに到着する。

 ギルド長室に入ると、そこにはすでにスセリとマリアがいた。


 執務机の上には地図が広げられている。

 大陸の地図だ。

 なにかの目印なのだろう。大陸北部の山のところにボードゲームのコマが置いてある。


 キルステンさんが視線を流し、俺たち全員を一度見てから口を開く。


「単刀直入に言おう。お前たちにはこの『シヴ山』に向かい、魔物を討伐してもらう」


 コマを指さしてそう命じた。


 大陸北部に位置するこのシヴ山に、近頃凶悪な魔物が住み着いたのだという。

 魔物はシヴ山を住み家とするや付近の町や村を襲い、人々をさらって食らいだした。

 事態を重く見た冒険者ギルドは魔物討伐のため、手練れの冒険者をシヴ山に送り込んだ。

 しかし、送り込まれた冒険者は一人として帰ってこなかった。


「そこでわたくしたちの出番となったわけですわね」

「ワシらに助力を乞うとはわかっておるではないか」

「お前たちは四魔を二体も倒した腕利きの冒険者だ。この仕事に適任だと思っている」

「おまかせくださいっ」


 プリシラが自信満々に胸をぽんっと叩いた。

 それから俺のほうを見る。


「ですよねっ、アッシュさまっ」

「ああ。俺たちで魔物を討伐しよう」

「いい返事だ。期待している」


 スセリもマリアもやる気に満ちた面持ち。

 そういうわけで、俺たちは魔物を討伐すべくシヴ山へと赴くことになった。


「ちなみにじゃが、報酬はいくらなのじゃ?」

「報酬は――」


 キルステンさんが提示した報酬の金額を聞いて俺たちは驚いた。

 ベズエル討伐の報酬とはさすがに比べ物にならないが、それでもかなりの額だ。

 季節がひとつ変わるまで遊んでいても余るほど。


「おぬし、顔に似合わず太っ腹じゃのう」

「ケチになる部分ではないからな。私は適正な額だと思っている」

「では、ちょちょいと魔物をやっつけて、大金をいただくのじゃ。楽な仕事じゃのう」

「いや、ダメだ」


 俺がそう言うとスセリがずっこけた。


「報酬のせめて半分は教会に寄付しよう」

「なにをお行儀の良いことをほざいておるのじゃ」

「さすがアッシュさまですっ」

「わたくしもアッシュに賛成ですわ」

「お前たちにやる金だ。どう使おうと私はどうこう言わん」


 俺を含めて賛成が三人。

 反対は一人。

 多数決で俺の勝ちだ。


「おぬしには欲というものがないのか。それでもワシの子孫か」

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