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60-4

 以前、キルステンさんは言っていた。ナイトホークは妻と娘のかたきだと。

 奴とは俺たち以上に深い因縁があるのだろう。

 ナイトホークに逃げられた俺たちはひとまずキルステンの手当てをし、それから王都の冒険者ギルドに帰った。


 ギルド長室。

 キルステンさんは執務机のイスに座り、俺たちを見る。


「四魔ベズエルの討伐、見事だ。やはりお前たちは他の冒険者とは一線を画す者のようだな」

「アッシュさまはとってもすごいのですっ」


 プリシラが自慢げに言った。

 それに乗じてフーガさんとマリアも俺の戦いぶりを大げさに語った。

 なんだか照れくさい。


「アッシュ・ランフォード。お前は仲間たちに好かれているな」


 キルステンさんがフッとキザな笑みを見せる。


「かけがえのない者たちを大事にしろ」

「もちろんです」

「ならいい」


 依頼の内容が内容で額も額だったので、悪魔ベズエル討伐の報酬に関しては後日、冒険者ギルドの幹部たち立ち合いのもとで支払われるという。


「それと、お前たちには秘密にしていたが、悪魔ベズエルの討伐に成功したあかつきには国王陛下から勲章が授与される約束がされていた。お前たちは使命を果たし、勲章を受け取る資格を得たのだ」

「く、勲章ですか!?」


 まさか本当に勲章がもらえるとは。


「おめでとうございます、アッシュさまっ」

「なにを言っている。勲章はお前にも与えられるのだぞ。ランフォード家のメイド」

「ええっ!?」


 心底驚いたプリシラが自分を指さして口をぱくぱくさせる。


「わっ、わわわわたしもですか!?」

「お前も四魔ベズエル討伐に助力した。その資格は当然ある」

「で、ですが、わたしはただのメイドですので……。あと、それと……」


 半獣だから、と言いたいのだろう。

 マリアがプリシラの肩に手を置く。


「もらいなさいな。アッシュとおそろいの勲章ですわよ」

「アッシュさまとおそろい……!」


 プリシラの目がきらきらと輝く。


「キルステンさま! わたし、勲章をいただきますっ」

「そうするといい」

「アッシュさまとおそろい……。てへへっ」


 プリシラは勲章をアクセサリーかなにかかと思っているらしい……。


「今回の働きが認められたのなら、僕の魔法研究所への支援金を増やしていただけるかもしれない……。よしっ」


 フーガさんも喜びに目を輝かせている。

 唯一スセリだけがいつもと同じようすだった。


「『稀代の魔術師』さまは勲章なんてもらい飽きてるみたいだな」

「ごほうびをもらってはしゃぐ歳はとっくに過ぎておるのじゃ」


 と、銀髪の少女は言った。



 後日、俺とプリシラとスセリとマリア、それとフーガさんを含めた俺たち五人は国王陛下から勲章を授与された。

 そして冒険者ギルドからばく大な報酬をもらった。

 当分は遊んで暮らせる額だ。

 さすがに未成年である俺たちには身に余る大金だったので、生活に必要な分だけもらって、残りはフーガさんの魔法研究所に寄付することにしたのだった。

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