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6-5

「さーて、さっそく作っちゃおうかしら」


 ノノさんはぐつぐつと煮えたぎる大きな釜にキノコをまとめて放り込む。

 それからかき混ぜ棒を握り、釜の中をかき混ぜる。

 釜の中が光り輝きだす。


「こんなものかしら」


 かき混ぜるのを止めたノノさんは釜から一歩離れ、それから呪文を唱えた。


「来たれ!」


 すると、テーブルに魔法円が浮かび上がり、そこから山盛りの粉が出現した。

 これが解熱剤だろう。


「錬金成功ねー」


 それからノノさんは収納棚から手のひら大の紙束を大量に取り出して持ってくる。


「この薬包紙に解熱剤を包んで完成よー。手伝ってくれるかしらー、三人とも。もちろんお駄賃は上乗せするわー」

「わかりました」

「おまかせくださいっ」

「しょうがないのう」

「くしゃみはしないでね」


 それからしばらくの間、俺とノノさん、プリシラ、スセリの四人は薬包紙に解熱剤を包む作業を黙々とこなした。



 ちょうど夕食の時間になるころ、山盛りだった解熱剤をすべて薬包紙に包むことができた。


「ありがとうみんなー。私一人だと素材探しから薬包紙に包むのに二日は掛かるのに、半日で終わっちゃった。助かるわー」

「これも冒険者の仕事です。ですよね、アッシュさまっ」

「ま、そういうことかな」

「やれやれ、肩が凝ったわい。まさか『稀代の魔導士』とうたわれるワシがこんな地味な仕事をさせられるとはのう」


 スセリが自分の肩をもみながらぶつくさ文句を言っていた。


「それじゃあ、今回の報酬を渡すわねー」


 ジャラリ。

 ノノさんがお金の入った袋を持ってきて俺に手渡す。

 ずしり。

 !?

 なんかこの袋、やたら重いぞ!?

 袋の中身を覗いてみると、目もくらむほどの銀貨がぎっしり入っていた。


「ノノさん!」

「はーい」

「さすがにこの金額は――」

「少なかったかしらー」

「多すぎです!」


 ぱっと見ただけでも、以前マリアからもらった報酬より多い。マリアの報酬でさえ破格だったのに、これは逆の意味で仕事に見合わなすぎる報酬額だ。

 ノノさんの金銭感覚はどうなっているんだ……。

 プリシラも袋の中身を目にして驚愕している。


「はわわわ……。す、すごい数の銀貨です……」

「よいではないか。もらえるものはもらっとくのじゃ」

「よくないよくない」


 俺は袋から適正と思われる分だけを報酬としてもらい、あとはノノさんに返した。


「別にいいのよー。私、あんまりお金使わないからー」

「お気持ちだけ受け取っておきます」


 ノノさんは「そう」と一応納得すると、銀貨の入った袋をそのへんに放り投げた。

 やっぱりノノさん、変わった人だ……。


 さて、今日この村を発つはずだったが、ノノさんのお願いをこなしたため夕方になってしまった。

 もう一泊して、明日の朝に村を出よう。

 プリシラとスセリと相談してそう決めると、ノノさんがこう提案してきた。


「それなら今夜の夕食はウチで食べていって。おいしい料理を――」

「作れるんですか?」

「錬成するからー」


 料理を錬成!?

 まあ、紅茶とお菓子も錬金術でつくっていたから、普通の食事も錬成できてもおかしくないが……。

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