55-1
セヴリーヌも端末を持っていたのか。
俺はとりあえず返事をする。
「ひ、久しぶりだな、セヴリーヌ」
「アッシュ! ずっと話したかったんだぞっ」
画面の向こうのセヴリーヌは満面の笑み。
それに対して俺はまだ戸惑っていた。
セヴリーヌが俺たちを認識しているということは、俺たちの姿もあっちに映っているのか。
「おぬし、端末を持っておったのか。しかもちゃんと動くのを」
「遺跡で拾ってきたのを直したんだぞ。アッシュと話すためになっ」
「それはうれしいが……。まさか、一人で遺跡に入ったのか?」
「ウルカロスもいっしょだったぞ」
ゴーレムのウルカロスが一緒だったとはいえ、冒険者でもないのに遺跡探索するなんて無謀なまねを……。
「それにしてもひどいぞ、アッシュ。アタシになんにも言わずにケルタスを出るなんて」
「いや、前々から何度も言ってたんだが……。旅立ちの日も会いに来たろ?」
「でも、言わなかったぞ」
こんなことで言い合っても仕方ないので「そうか。悪かった」と俺が折れた。
それにしてもスセリもセヴリーヌもすごいな。古代人の機械を直す技術があるなんて。修理の魔法でもあるのだろうか。時計職人みたいに機械の中身をいじって直したとは考えづらい。
「とにかく、これで毎日アッシュと話せるな」
「そうだな」
俺は内心、セヴリーヌにそう言われてうれしい気持ちになった。
彼女は俺を大切な人だと認識してくれていたのだ。
親友になったのをおぼえていてくれたんだな。
「充電がそろそろ切れるのじゃ」
「充電?」
「端末を動かしている電力がなくなりかけておるのじゃよ。通話を切るのじゃ、セヴリーヌ」
「おい、待てよ。端末はアッシュに渡せ。お前となんか話したくない」
「端末はワシのものじゃぞ」
「いいからアッシュに渡せ。いいな」
「……ほれ」
スセリが俺に端末をぽいと投げてよこした。
「アッシュ。お前と話したくなったらまた端末を鳴らすから、端末ははなみはなさず――肌身離さず持ってるんぞ」
「わかったよ」
「ぜったいだぞ」
「ああ。持ってるよ」
「えへへ」
そこで通話が切れた。
画面が真っ暗になった。
充電というものがなくなったらしい。
「そういうわけじゃからアッシュよ。端末はおぬしに託すのじゃ」
「いいのか? スセリ、ゲームで遊びたいんじゃ」
「ゲームで遊びたくなったときはおぬしから借りるのじゃ」
それから俺はスセリに端末の充電方法を教わった。
方法は単純で、端末に手をかざして魔力を送り込めば充電できるという。古代人は電気を使ってて充電していたが、魔法の力でも代替できるのだと彼女は言った。




