53-7
あとは『偽オーレオール』を持ち帰った信者を追跡し、ロッシュローブ教団の本拠地を暴くだけだ。
キルステンさんが古びたテーブルに地図を広げる。
「スセリ・ランフォード。『偽オーレオール』の位置を示せ」
「命令口調が気に食わないのじゃ」
「早くしろ」
「そんな目でにらむでない。ほれ」
スセリがしぶしぶ地図に手をかざす。
すると、地図の一点に小さな青い光が灯った。
青い光はゆっくりと街道に沿って移動している。
この青い光が『偽オーレオール』の位置だな。
「追いかけましょう、キルステンさん」
「いや、まだだ。信者が本拠地に辿り着いてから追跡する。――アッシュ・ランフォード」
キルステンさんが俺に布袋を手渡してきた。
ずしりと重い。
中を覗くと、金貨が山のように入っていた。
「おっ、お金がこんなにありますっ! アッシュさまっ」
「今回の報酬だ。受け取れ」
すごい大金だ。正確な金額を数えるのがばかばかしくなるくらい。
いくら重要で危険な役目を遂行したとはいえ、こんな大金をもらっていいのだろうか。これだけあれば当分、冒険者の仕事をしなくても王都で過ごせるだろう。
目をしばたたかせる俺とプリシラとマリアであったが、スセリだけが不満げな顔をしていた。
「これをやるから、この件にはもう関わるなと言いたげじゃのう」
「そのとおりだ。お前たちの役目はこれで終わった」
「えっ。これから騎士団と共にロッシュローブ教団を倒しに行くのではなくて?」
「ロッシュローブ教団のせん滅は我ら騎士団にお任せください」
騎士団の一人がマリアにそう言った。
続けてキルステンさんがこう言う。
「ロッシュローブ教団は邪教を崇拝する危険な集団だ。いち冒険者の手に負えるものではない」
彼の言う通りだ。
ロッシュローブ教団は目的のためには殺しもいとわない暗殺教団。実際、俺たちは今回のように何度も命を狙われてきた。一介の冒険者に過ぎない俺たちが深入りしていいものではない。国の治安を守る王国騎士団に任せるべきだ。
「ギルド長という立場である私が名門ランフォード家とルミエール家の子供を危険にさらすわけにはいかない。わかるな? アッシュ・ランフォード」
そういうわけで、俺たちはこれきりでこの件から外され、王都へと帰った。
「暗に足手まといだと言われたのが気に食いませんわ」
マリアの気持ちはわかる。しかし、キルステンさんの言い分も理解できる。
与えられた役目はしっかりと果たした。
「あとは大人たちに任せよう」
「そうですねっ。王国騎士団が悪い人たちをやっつけてくれますよね」
「そうじゃの」
俺たちが宿泊している宿屋『ブーゲンビリア』の食堂。
夕食の時刻はとうに過ぎたので、食堂はまばら。
俺たち四人は遅めの夕食をとっていた。
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