表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

368/842

53-3

「今回の依頼の報酬はー、私の口づけでどうですー?」

「いらない」


 俺は即座に断った。

 フレデリカが頬をふくらませてふてくされる。


「女の子の口づけを断るなんてー、アッシュさんひどいですねー。逆に失礼ですよー」

「そういうのは大事なときがきたときまでとっておけ」


 ティーカップに口をつけて少し傾け、紅茶を飲む。

 渋い味わいが口の中に広がる。


「なら、どんな報酬だと満足するんですかー。私ー、お金なら持ってないですよー。ママからのおこづかい、ほんのちょびっとしかもらえませんしー」


 持ってないのに依頼したのか……。


「報酬はいらない。今日はフレデリカの友達として遊んだだけだからな」

「友達……」

「俺たち、友達だろ?」

「は、はい……」


 頬を染めて視線をそらすフレデリカ。


「またいっしょに釣りにいきましょうねっ。フレデリカさまっ」

「……うん」


 フレデリカはうれしそうにうなずいた。

 それから三人でひとしきりおしゃべりをしてから、俺たちは代金を支払ってカフェを出た。



 宿『ブーゲンビリア』に帰ってくる。

 フレデリカは母親と受付を交代し、俺とプリシラは各々の部屋に戻った。


「おかえり、なのじゃ」


 部屋のベッドにはスセリが寝そべっていた。

 古代人の遺物――薄っぺらい長方形の物体『端末』でゲームをして遊んでいる。

 端末の画面を肩越しに覗く。

 勇者が剣を持って竜に立ち向かっていて、勇ましい音楽が流れている。


「ここ、俺の部屋なんだが」

「知っておるのじゃ」


 スセリは俺には目もくれず、ゲームに熱中している。

 どうやってカギを開けたのか。

 どうしてわざわざ俺の部屋で遊んでいるのか。

 今更質問する気にもならなかった俺は、ため息をついた。


「なんじゃ、ため息などつきおって。プリシラの真似をして『おかえりなさいませ』とでも言ってほしかったのか?」

「頼めばしてくれるのか?」

「するわけないのじゃ。のーじゃじゃじゃじゃっ」


 いつもの変な高笑いをあげた。

 画面の中の勇者が竜の炎を浴びて丸焦げになった。


「あー、やられてしまったのじゃ」


 端末の機能を停止させ、サイドテーブルに置く。


「釣りは楽しかったか?」

「湖はきれいだったし、ボートを漕ぐのも楽しかったし、大きな魚も釣れた」

「それはよかったのじゃ。ワシはおぬしらがのんきに遊んでいる間にロッシュローブ教団の居所について調べておったのじゃが」

「ついにわかったのか」

「うむ。奴らの居場所をつきとめたのじゃ」


 ベッドの上に地図を広げるスセリ。

 そして郊外のある一点を指さした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ