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52-3

 そうしていよいよ俺たちの王都での暮らしがはじまった。

 といっても、生活の拠点を移しただけで、やることはケルタスにいたころと変わりはなかった。


 冒険者として依頼をこなす日々。

 魔物討伐や遺跡の探索。

 ケルタスでの経験と実績があったから、俺たちは報酬の高い依頼を優先して受けられた。

 むろん、それ相応の危険も伴うものだったが、今のところは順調に依頼をこなせた。


 王都で暮らしはじめてから二週間が経った。

 ロッシュローブ教団からの刺客は今のところ来ていない。


「あやつらがやってこないから手がかりがちっともつかめないのじゃ」


 不満そうなスセリ。

 冒険者として活動しつつ、スセリはロッシュローブ教団についてさぐっていたが、まだ本拠地を発見できてはないかった。

 国や冒険者ギルドですら足取りをつかめないのだから当然なのだが。


「これではいつになってもアイオーンを手に入れられんのじゃ」

「アイオーンを手に入れる……?」


 聞き捨てならない発言。

 魔王ロッシュローブの魔剣をスセリは自分のものにするつもりなのか?


「おい、まさかスセリ。お前がロッシュローブ教団にこだわっているのって、アイオーンを自分のものにするつもりだからか?」

「あの魔剣の持ち主にふさわしいのはワシなのじゃ」

「邪悪な剣だぞ」

「そんなもの、扱う者次第なのじゃ」

「アイオーンを手に入れて、どうするつもりなんだ?」

「当ててみるがよい、なのじゃ」


 ああ、これは教える気がないな……。


「安心するのじゃ。少なくともナイトホークどもよりかはまともな使い道を考えておるのじゃ」


 だといいんだが。

 国王陛下が看破したとおり、不老という世界の摂理に逆らった少女は底知れぬ企みを抱いているに違いない。

 スセリが魔王にでもなったとしたら、世界は混沌に満ちるだろう。


「アッシュさーん、入りますよー」


 俺の部屋に宿屋の娘、フレデリカがやってきた。


「アッシュさんて、最近ヒマですかー?」

「ヒマというわけじゃないが、忙しいわけでもないな。どうかしたのか?」

「実はー、アッシュさんたちに依頼がしたくてー」


 フレデリカは窓の外を指さす。


「あっちの方角に大きな湖があるんですよー。そこでいっしょに釣りをしてほしいんですー」

「釣りって、魚釣りか」

「そうですー。どうですー、かんたんな依頼ですよねー?」


 それは依頼というよりも、遊びの誘いだった。

 断る理由のなかった俺は「わかった」と首を縦に振った。


「ワシはいかんぞ。釣りは退屈で苦手なのじゃ」

「別にいいですよー。アッシュさんさえいればー」

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