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52-1

「安心するのじゃ。おぬしも年をとるにつれ、老いる自分と折り合いをつけられるようになるのじゃ。若いおぬしにはまだわからんじゃろうが」

「ですが」

「老いぼれるのも存外悪くはないぞ。のじゃじゃじゃっ」


 スセリのおちゃらけた態度から、どうあがいても説得できないとラピス王女さとったのだろう。一応は諦めてくれたらしく、王女は「また、あらためて会いにゆきます」と言い残して俺たちの前から去っていった。

 見計らっていたのだろう。彼女と入れ替わりに、先ほど城を案内してくれた白髪の老紳士が現れる。


「謁見の時間です」


 老紳士の後に続いて俺たちは再び城の中を歩く。


「ラピス王女は多感な年ごろなのです」


 どうやら先ほどのやり取りを聞いていたらしい。

 老紳士が言葉を発したのはその一度きりで、あとは黙々と歩くばかりだった。

 そして謁見の前へとたどり着いた。


「待っておったぞ。ランフォードの子たちよ」


 玉座に座っているのはこの国の王、グレイス陛下。

 隣にいるのは王妃。


「それと、おぬしがスセリか?」

「うむ。ワシがスセリなのじゃ」


 国王陛下相手にもスセリはいつもの調子だった。

 俺たちは三人は緊張しているというのに。


「不老の魔法を会得した『稀代の魔術師』が、こんな少女とはな」


 グレイス陛下は物珍しげにスセリをじろじろ観察している。


「お前は本当にスセリなのか?」

「疑っておるのか」

「私はてっきり、お前が詐欺師だとばかり思っていたのだ」

「なっ! ワシが詐欺師じゃと!?」

「先代、先々代の王に『不老の魔法をつくりだす』などとデタラメを言い、研究資金という名目で金をせしめた詐欺師だとな」

「ワシは正真正銘、ランフォード家の始祖スセリなのじゃっ」


 スセリは憤慨した。

 グレイス陛下が「がっはっはっ」と豪快に笑う。


「信じるぞ。信じてやろう」

「本当に信じておるのか……?」


 けっこう、気さくな王さまだな。

 それにしても、このスセリを手玉に取るなんて。さすがは王さま。


「陛下。次の謁見が控えておりますので」


 老紳士が促すと、グレイス陛下は「うむ」とうなずき、本題に入った。


「聞かせてもらおうか。ロッシュローブ教団について」


 俺たちはロッシュローブ教団との因縁をグレイス陛下に話した。

 教団の信者、ナイトホーク。

 魔剣『アイオーン』がヤツの手に渡ってしまったこと。

 もう一人の刺客、ミスティアとの船上での戦い。

 グレイス陛下はあごをなでながら、俺たちの話に真剣に耳を傾けていた。


「王よ。ワシらはナイトホークからアイオーンを取り戻す。そのための援助を頼むのじゃ」

「お前たちが取り戻す? 冒険者ギルドからの書状にはそんなこと書いていなかったぞ」

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