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50-6

 それから俺とプリシラ、スセリ、マリアの四人は王都の冒険者ギルドへと足を運んだ。

 ここが世界中にある冒険者ギルドの本部である。

 施設の規模が大きいのは当然として、内装も驚くほど豪華で、王城と見まがうほど。


 ギルドには大勢の冒険者が集っている。

 ケルタスとは比べ物にならない。

 俺たちはぽかんと口を開け、ただただ途方に暮れていた。


「いつまでつっ立っておるのじゃ」


 スセリにヒジでつつかれる。


「そ、そうだな。まずは受付に行かないとな」

「正面のあそこが受付ですわね」

「ケルタスの冒険者ギルドからの書状は、このプリシラがしっかり持っていますっ」


 受付に行き、受付嬢に書状を渡す。

 書状を受け取った受付嬢は「少々お待ちください」と奥の部屋に消える。

 それからしばらく経ち、待ちくたびれたと思ってきたころに彼女は戻ってきて「こちらへどうぞ」と自分についてくるよう促してきた。


 階段を上り、二階へと上がる。

 通路を歩き、最奥の部屋の前へと至る。

 受付嬢が扉をノックする。


「入れ」


 扉の奥からそう返事がした。

 部屋に入る。

 部屋は三方に書架があり、ずらりと書物が並べられていた。


 そこにいたのは一人の青年。

 端正な顔立ち。

 同性の俺ですら息をのむほどの美貌。

 しかし、眼は刃のように鋭く、他人を寄せ付けない冷たい印象を抱かせる。


 彼を一言で表すなら――孤高の狼。


「私の名はエトガー・キルステン。冒険者ギルドの長をしている」


 エトガー・キルステン。

 彼はそう名乗った。


「おぬしがギルド長? ずいぶん若いのじゃな」


 スセリが物おじせずそう言う。


「小娘に言われるとはな」

「ワシはこう見えて100歳を超えておるのじゃよ。のじゃじゃじゃっ」

「……」


 スセリにおちょくられても、キルステンさんは無表情を貫いており、さっそく本題に入った。


「ケルタス支部からの書状は読ませてもらった。ロッシュローブ教団と浅からぬ関りを持ったらしいな」

「航海の途中で刺客を差し向けられました」


 キルステンさんの視線が俺の持つ『オーレオール』に向けられる。


「お前がアッシュ・ランフォードか。『稀代の魔術師』が著した魔書『オーレオール』の継承者という」

「ワシがその『稀代の魔術師』スセリなのじゃ」

「子供のごっこ遊びに付き合うつもりはない」

「……アッシュ、説明してやるのじゃ」


 俺はキルステンさんにスセリを紹介した。

 ランフォード家の始祖で、不老の身であること。

 魔書『オーレオール』の著者であること。


「……どうやら冗談ではないらしいな」

「書状にワシのことを書いていなかったとは。まったく、いかんのじゃ」

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