46-3
魔書『オーレオール』の力を借りた魔法なら、機械人形程度なら一撃で粉砕できるだろう。
……スセリはそれを見越して、なにか企んでいそうなのが怖いが。
「アッシュ、プリシラ。連携して戦いますわよ」
「足を引っ張らないようがんばりますっ」
マリアは光の剣を、プリシラはロッドを構える。
俺も『オーレオール』を手にし、いつでも魔法を唱えられる準備をした。
スセリロボも腰を落として身構える。
「それではいきますよ」
戦いを始めようとした――が、しかし、スセリロボが突然こんなことを言い出した。
「我は問う」
「――へ?」
「我は生ける者の内にあるもの。赤き運河の眠らぬ要」
「あ、あのー……」
「我とはなに?」
我とはなに――と問いかけるスセリロボ。
俺もマリアもプリシラも、ぽかんと口を開けてその場にたたずんでいた。
「我とはなに?」
スセリロボが繰り返す。
こ、これって……。
「もしかして、謎かけですか?」
「そうです。今ほど私の出した謎を解いたら先へ進むのを許します」
――さあさあ、三人とも、知恵をしぼって考えるのじゃぞ。
スセリの愉快そうな声が響いた。
さて、どうするか。
こちらには『オーレオール』があるから、謎かけなんて無視してスセリロボを魔法で撃破するのは可能だろう。
ただ、それではきっとスセリは満足しない。力ずくで押し通ろうとしても阻止されるのは目に見えている。
おとなしくあいつの悪ふざけに付き合わなくてはならないのだ。
力を持て余した魔術師たちは退屈がよほど嫌いなようだ。
「我は生ける者の内にあるもの……」
腕組みして眉間にしわを寄せるマリア。
「赤き運河の眠らぬ要……。はうう、難しい言葉です……。赤い河なんてあるのでしょうか」
プリシラも困った面持ち。
生ける者の内にあるもの。赤き運河の眠らぬ要。
この正体を暴かなくてはならない。
スセリロボは無言でその場に立っており、頭部に据えられた目だけを動かしている。
たぶん、あの目を通してスセリは俺たちを見ているのだろう。
「アッシュさまはわかりますか? スセリさまロボさんの謎かけの答え」
スセリさまロボさんて……。
「わたくし、見当もつきませんわ」
マリアもプリシラもお手上げといったようすで、俺に期待している。
とはいえ、俺も答えは未だ浮かんでこない。
生ける者の内にあるもの。
赤き運河の眠らぬ要。
さすがに解けない問題は出さないだろう。
となると、この言葉の正体は俺たちの身近にあるものである可能性が高い。
――のじゃじゃじゃっ。悩んでおるのう。
「スセリさま。いじわるはやめて通してください。わたしたちはスセリさまをお迎えにきたんですよ」
――イヤなのじゃ。
「はうう……」




