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42-6

 次の試練が待ち受けているであろう部屋へと足を踏み入れる。

 もしかすると、また機械人形が立ちはだかっているかもしれない。

 ミューの前に立って部屋の中に入った。


 部屋はなんの変哲もない四角い空間。

 正面の壁には赤いマスが9つ灯る機械の扉。

 最初部屋と同じ構造だ。


「ぴかぴかの扉ー。アッシュー。だっこー」


 扉の前に立ち、ミューを抱きかかえる。

 ミューが真ん中のマスに手を触れる。

 触れたマスが赤から青に光の色を変えた――かと思いきや、今までとは違う挙動が起こった。


 触れたマスだけではなく、隣接する上下左右四つのマスも青色に変わったのだ。

 一気に5つのマスが青になり、赤いマスは四隅の4つだけになった。

 ミューは右下の赤いマスに触れる。

 赤いマスが青に変わった。

 ……そして、隣接する上と左のマスが青から赤に戻ってしまった。


「あれー?」


 首をかしげるミュー。

 下段真ん中のマスに触れる。

 触れたマスが赤から青になったのはよかったが、隣接するマスの色も同時に色を変えてしまった。


 これはパズルだ。

 すべてのマスの色を青にするよう、考えてマスに触れなくてはならない。

 でたらめにマスに触れていては、いつまでたってもすべてのマスを青にはできない仕掛けになっている。


 俺は考える。

 どういう順序でマスに触れていけばすべてのマスを青に変えられるか。

 ミューも手を止めてじっと9つのマスを見つめている。

 子供のミューには難しい問題だろう。

 ここは俺が解かなくては。


 ところが、意外なことが起こった。


「わかったー」


 ミューが素早い手つきで次々とマスに触れていった。

 青を赤に。赤を青に。

 やがてマスの色がすべて青色にそろった。

 扉が上部にせり上がり、先へと進めるようになった。


「すごいな、ミュー」

「そうなのー?」


 自覚していないのか。


「ああ。俺じゃ解けない仕掛けだったぞ。ミューはかしこいんだな」

「えへへー」


 ぼんやりとした性格だが、頭はかなりいいのか……?

 俺は驚きを隠せなかった。


「頭なでてー。ごほうびー」


 そうせがまれて、ミューの頭をなでる。

 少しクセのある、やわらかい髪をかき混ぜながら。

 ミューは「てへへー」と気持ちよさそうに目を細めていた。


 か、かわいい……。

 庇護欲をくすぐられる。

 恋愛感情は無いが、妹や自分の子供としてこんな女の子が欲しいと思ってしまった。


「これが終わったら、ミューと結婚しよーねー」

「そ、それはまた別の話だぞ……」

「えー。ミューはアッシュと結婚するー」


 ミューはぷくーっとほっぺたをふくらませた。

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