表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

291/842

42-3

 そして翌日、俺たちは克己の試練に挑戦するため、古代人の遺跡へと赴いた。

 遺跡は長い年月を経て自然に埋もれ、岩肌の露出した洞窟となっていた。

 洞窟の入り口は機械の扉で閉ざされている。


「さあ、ミュー。扉に手を触れなさい」


 ギザ卿が娘に促す。

 ミューは特に怖がっているようすはなく、普段のぽわんとした表情のまま扉に近づき、そして小さな手で触れた。

 途端、洞窟が周囲もろとも激しく揺れだす。

 突発的な振動で揺さぶられる俺たち。


「はわわっ」


 プリシラが転びそうになったのを俺が抱きとめる。

 振動が収まる。

 ギザ卿は盛大に転んでいた。

 ミューもぺたん、としりもちをついており、きょとんとしている。


「とびらー、ひらいたー」


 ミューの言うとおり、洞窟の扉が開いていた。

 大きく開いた口の中は他の遺跡と同様、コンクリートと呼ばれる灰色の石材で造られた通路になっていて、電気仕掛けの白い明かりが等間隔に並んでいた。

 外からうかがえる遺跡のようすはそれくらいだった。


「今さらですがギザ卿。無理に試練に挑む必要はないんじゃ」

「いえ、エルリオーネ家に生まれた者は皆、この試練を乗り越えてきました。むろん、私もです。愛しい娘とはいえ、ミューだけを特別扱いはできません」


 とはいうものの、ギザ卿は今朝からずっと落ち着きがなかった。

 やはり愛娘が心配なのだろう。


「アッシュさま。どうか我が娘を――ミューをよろしくお願いいたします」


 その言葉を聞いたのは今日で何度目だろう。

 ミューに魔物や機械人形と戦う力はない。

 彼女を守れるのは従者である俺だけなのだ。


「アッシュはー、ミューがまもるー」


 心配すぎて落ち着かない父親とは裏腹に、娘のほうはやる気満々だった。


「ミューはねー、決闘ごっこでいつもパパに勝ってるのー。ていやー」


 彼女が無謀なマネをしないか、ちゃんと見ていないとな……。

 プリシラが俺の手を取る。


「どうかご無事で。アッシュさま」

「ありがとう、プリシラ。行ってくる」


 俺とミューは遺跡の中へ足を踏み入れた。

 その瞬間、再び振動が起こり、入り口の扉が閉ざされた。

 あっという間の出来事だった。


「とびらー、閉まったー」


 無理だろうとは思いながら押したり叩いたりしてみたが、やはり扉はうんともすんとも言わなかった。

 試練を乗り越えるか、あるいは半ばで果てるかしないと扉は再び開かないのだろう。

 引き返すという選択肢を奪われたことよにり、緊張が生じる。

 ミューは……相変わらずぼーっとした顔をしていた。


「ミュー。俺から離れるなよ」

「アッシュがミューの騎士さんー?」

「ああ。俺はミューを守る騎士だ」

「わーい」


 ミューはのんきによろこぶ。


「でもー、ミューもつよいんだよー? いっしょに戦ってあげるねー?」

「い、いや、戦いは俺に任せてくれ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ