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41-5

 俺は執事に案内された部屋で服を着替えた。

 こんな上等な服、久々に着たな。

 鏡に映る自分の姿を見て、ランフォード家で暮らしていた頃を思い出す。


 着替えを済ませた後は屋敷の主人に屋敷の中を案内されながら、他愛のない雑談をした。

 屋敷の主人はランフォード家との繋がりを持ちたいのが見え見えで、やたらと俺をおだててきた。


「アッシュさまに婚約者はいるのですかな?」


 そう尋ねられ、一瞬、マリアの顔が思い浮かぶ。


「い、いえ、いません……」


 すると、屋敷の主人はここぞとばかりにこう提案してきた。


「でしたら、我が家のミューはいかがですかな?」


 そう言われるのは予想していた。

 ミュー本人はプリシラと遊ぶために俺たちを招待したのだろうが、この父親の目的はこれだっのだ。


「少々歳は離れていますが、よくあることでしょう。是非ともミューの夫になって、このエルリオーネ家を継いでください」

「今は結婚のことは考えていません」


 断ったつもりだったが、屋敷の主人は諦めが悪かった。


「父親の私が言うのもなんですが、ミューはとても目鼻立ちが整っております。ランフォード家の縁者になるのに恥ずかしくないと思っております」


 確かにミューはかわいい。人形のような精巧な顔立ちと愛らしさがある。少しぼんやりとしたところがあるが、それも子供らしくてかわいい。

 とはいえ、結婚するかどうかは別の話。


「ここがミューの部屋です」


 屋敷の主人が目の前の扉を開けた。

 部屋の中にはぬいぐるみがたくさんあり、その中心にミューとプリシラがいた。

 二人はそれぞれクマとウサギのぬいぐるみを持っている。ぬいぐるみで遊んでいる最中だったらしい。


「ミュー。アッシュさまだよ。ごあいさつなさい」

「プリシラのご主人さまー?」


 ミューがつぶらな瞳でじっと見つめてくる。


「ミューの名前はミュー」

「俺はアッシュ・ランフォード。よろしくな。プリシラと仲良くしてやってくれ」

「ミューとプリシラは仲良しー」


 ミューはぽわんとした笑みを浮かべた。

 プリシラもにこにこしている。


「プリシラ。その衣装、似合ってるぞ」

「は、恥ずかしいです……」


 プリシラは桃色の薄い布地の衣装を着ていた。

 メイド服を着ているときより幼い印象を受ける。

 屋敷の主人も「とてもかわいい!」と褒めちぎった。


「ミュー。次はアッシュさまと遊びなさい」

「ミューはプリシラがいいー」


 プリシラの腰に抱きつくミュー。

 苦笑いを浮かべる屋敷の主人。


「アッシュさまは大事なお客さまだ。ちゃんともてなさなくちゃだめだよ」

「えー」

「プリシラのご主人さまなんだから」


 しばし沈黙した後、ミューは「わかったー」と渋々うなずいた。

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