35-3
「スセリさまとセヴリーヌさまが決闘!?」
「アッシュをかけて!?」
食堂。
スセリは先ほどの出来事をマリアとプリシラに話したのだった。
朝食をとりながら楽しげに。
「勝ったほうがアッシュさまと結婚……」
「アッシュと結婚するのはこのわたくしでしてよ! 勝手にお二人で決めないでくださいまし」
「アッシュが欲しくばマリアも参戦するのじゃな」
「当然ですわ」
まさかの三つ巴だと!?
「やめろ、マリア。俺はどっちが勝っても結婚はしない」
俺がそう言うと、プリシラがほっとした顔をした。
「それにしてもびっくりです。セヴリーヌさまがそれほどアッシュさまに好意を寄せていただなんて」
同感だった。
セヴリーヌに気に入られていたのは知っていたが、まさか結婚を要求されるだなんて思いもよらなかった。
とはいえ、彼女は結婚がどういうものかあまり理解はしていないようだが。
彼女は俺をひとりじめしたいのだろう。
「アッシュが結婚をしないとおっしゃるのなら、お二人の決闘は無意味では?」
「意味はあるのじゃ。久しぶりに思う存分、遊べるのじゃからな」
『稀代の魔術師』二人が闘うとなると、天災規模の被害が周囲に及びそうだ……。
「さて、決闘は明日じゃから、それまでヒマじゃの」
「冒険者ギルドでお仕事をさがしましょう」
「それがいいですわね」
そうして俺とスセリとプリシラ、マリアの四人で冒険者ギルドへと向かった。
ギルドに入り、手ごろな仕事がないか掲示板を眺める。
「アッシュくんたちの仕事は僕から斡旋するよ」
ギルド職員のオーギュストさんが俺たちの前に現れてそう言う。
俺たちは数々の困難な依頼をこなしてきて、今や熟練の冒険者扱い。
オーギュストさんの言うとおり、もはや掲示板を見て仕事をさがさずとも、ギルドから直接仕事を斡旋されるまでになっていた。
「明日は夕方から用事があるから、手ごろな仕事をさがしておるのじゃ」
「ふむ、手ごろな仕事……」
考え込むオーギュストさん。
しばらくそうした後、「なら、これがいいんじゃないかな」と掲示板に張られた依頼書の一枚を取った。
護衛の依頼。
ケルタスの隣にある村までの片道の護衛だ。
これなら半日で終わるかんたんな仕事だ。
護衛する日時は――明日の朝になっている。
「本来なら駆け出しの冒険者向けの仕事なんだけどね」
「小遣い稼ぎにちょうどいいのじゃ」
「この仕事、俺たちに受けさせてください」
それから俺たちは受付に行き、この仕事を受けたのだった。
「それじゃあ明日の指定の時間によろしく頼むよ。かんたんな仕事だけど、初心を忘れずにね」
「メイドの威信にかけてがんばりますっ」




