表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

233/842

34-1

 二人で空を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごす。

 言葉数は少ない。

 しかし、それが俺たちの絆の証であった。


「あれっ? あれはなんでしょう?」


 そんなときであった。プリシラが空を指さしたのは。

 空を鳥が飛んでいた。

 異様に大きな鳥だ。ワシやタカよりふたまわりは大きい。

 しかも低空を不安定な動きで飛行している。

 飛行というよりは、滑空に近い。


「落っこちてきます!」


 巨大な鳥がみるみる地上に近づいてくる。

 そしてついに公園のど真ん中に墜落した。

 公園に立っていた石像に突っ込んで、粉砕しながら落下する。

 周囲にいた人々が悲鳴を上げながら逃げ出していく。


「アッシュさま。あの鳥、魔物です!」


 墜落しながらも、その鳥は死んでおらず、起き上がった。

 タカに似た鳥型の魔物。

 動物ではなく魔物とわかったのは、蛇のような長いしっぽが生えていたからだ。

 しっぽは自我を持っているかのように左右に動いている。


 鳥型の魔物が甲高い鳴き声を上げる。

 すると、大きく開いた口から細い光線が発射された。

 光線は直線上の芝生をなぎ払いながら、空高くに伸びていった。


 まずい。

 あんな攻撃をまたされたら、街の人々に被害が及ぶ。

 俺は剣を召喚する。

 俺は『オーレオール』を持ってきていないし、プリシラも当然、ロッドは『夏のクジラ亭』に置いてある。まともに戦えるのは俺だけだ。


 鳥型の魔物に接近する。

 魔物は今、俺たちに背を向けている。

 攻撃を叩きこむなら今が好機。

 ――と思いきや、蛇のようなしっぽが俺の接近を察知し、ムチのようにしなって迎撃してきた。


 不意打ちを食らい、剣を落としてしまう。

 鳥型の魔物がこちらを向く。

 クチバシを開く。


 俺はとっさに地面を転がり、横に回避する。

 次の瞬間、鳥型の魔物の口から光線が発射された。

 光線は俺の肩すれすれを通り、背後にあった芸術作品のオブジェを破壊した。


 俺は落としていた剣を拾い、思いっきり振りかぶって鳥型の魔物に叩きつけた。

 剣は魔物の首の部分に直撃する。

 刃が深く食い込む。

 魔物は短い断末魔を上げ、口から赤い血を吐いた。

 そして横倒しになり、絶命した。


 その後、冒険者ギルドの職員が公園に駆けつけてきた。

 俺が魔物を倒したことを告げると、駆けてつけてきた職員の一人、オーギュストさんが俺たちに礼を述べた。


「街の人々を守ってくれてありがとう。アッシュくん」

「俺はやるべきことを果たしたまでです」


 それから鳥型の魔物は冒険者ギルドの職員たちによって回収され、俺とプリシラはギルドまで行って魔物討伐の報酬を受け取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ