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「お二人とも遊びの約束をしていますの? ならわたくしも仲間に入れてくださいまし」
「あっ、わたしもセヴリーヌさまたちといっしょに遊びたいですー」
「ダメだ」
セヴリーヌが即答で断ると、マリアとプリシラはあ然とした。
俺も大体似たような表情をしているだろう。
スセリだけが呆れたようすで肩をすくめていた。
「アタシはアッシュとだけ遊ぶんだ」
「そ、そうですの……」
「みんなと遊んだほうが楽しいですよ。セヴリーヌさま」
「うっさいうっさいっ。アタシはアッシュとだけ遊ぶんだ」
これはつまり、セヴリーヌに好かれているということでいいのだろうか。
とはいえ、他の誰ともいっしょに遊ぼうとしないとは……。
やはり変わった女の子だ。
「セヴリーヌとはこういう人間なのじゃよ」
朝食を終えた後、プリシラとスセリとマリアの三人は今日も繁華街へ買い物に行った。
俺は約束どおりセヴリーヌの家で遊ぶこととなった。
海沿いの道を並んで歩く俺とセヴリーヌ。
セヴリーヌはその小さくやわらかい手で俺の手を握っている。
にこにこ笑顔でごきげんだ。
「アッシュ。今日はカードゲームで遊ぶぞ」
「なあ、セヴリーヌ。プリシラも言ってたが、二人より大勢で遊ぶほうが楽しいぞ。プリシラとは歳も近いから気が合うんじゃないか?」
「アタシはアッシュと二人きりがいいんだ」
俺の手を握る力を強めるセヴリーヌ。
彼女なりのこだわりがあるのだろう。
それにしても、かなり偏っているというか、強いこだわりようだ。
「それにアタシは大人だぞ。プリシラとかいうヤツといっしょにするな」
時間凍結の魔法により、不老の身となったセヴリーヌ。
しかし、その代償として、心の成長も子供のまま止まってしまった。
もしかすると、彼女はそれを自覚していないのかもしれない。
自分が未熟ということに、彼女は一生気付けない……。
「どうした。アタシをじーっと見て」
「……いや、なんでもない」
「なあ、今日はカードゲームで遊ぶぞ。アッシュがどうしても、って言うのならボードゲームでもいいけどな。好きなの選ばせてやる」
「カードゲームでいいさ」
「決まりだなっ」
空は澄み渡る青。白い雲がのんびりと漂っている。
日差しがまぶしい。
海も穏やかで、日差しを照り返して輝いている。
白い砂浜もきれいだ。
こんなきれいな海辺を、ただ眺めながら通り過ぎるのはもったいない。
「セヴリーヌ。海で遊んでいかないか?」
「いいぞ」
俺とセヴリーヌは寄り道して浜辺で遊ぶことにした。
砂浜は太陽の熱を吸収して熱い。
靴を脱いで裸足になると、その熱さが気持ちよかった。
「あはははっ。つめたいぞーっ」
セヴリーヌは裸足になって波打ち際を走っていた。
跳ねる水しぶき。
躍る長い髪。
彼女は無邪気にはしゃいでいる。
俺は自然と微笑んでいた。




